オピニオン

「個人情報保護法」が追い風に

 「個人情報保護法」が今年4月、完全施行となる。医療分野は個人情報の性質や利用方法などから、金融や情報通信分野と並び、特に適正な取扱いが必要とされる分野。厚労省としても昨年12月、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」の取りまとめを行っており、現在医療機関や介護業者などは、その対応に追われているところだ。
他方、別な動きとして、「個人情報保護法」の本格的施行に合わせて関連市場がにぎわいを見せている。大手損害保険会社6社は、一昨年から新たな損害保険商品である個人情報漏洩保険を売り出しており、その収入は03年度の約1億円から04年度は20億円規模まで急成長しているという。漏洩保険は、企業が保有する個人情報が外部に流出し、賠償金等が生じた際に支払われるもので、膨大な顧客を持つ百貨店や通販会社、さらに病院や学校法人などを中心に加入が増えているとのこと。さらに、現在多くの企業が情報セキュリティーの強化を図っており、電子認証サービスや監視サービスの需要が増加。セキュリティー関連企業の業績も好調だという。
  「個人情報保護法」は5000件以上の個人情報を利用している企業などが対象となっており、その数は中小企業も含め100万社を超えるとされている。「シュレッダーがほしい」(薬局経営者)という声もあるように、4月施行の「個人情報保護法」は思わぬ所にも影響を及ぼしているようだ。



(2005年3月18日掲載)



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(2005年3月25日掲載)
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(2005年3月18日掲載)
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(2005年3月11日掲載)