オピニオン
「がんになったら手にとるガイド」改訂
国立がん研究センターが発刊している「がんになったら手にとるガイド」が10年ぶりに改訂された。飛躍的に進化し大きく変化するがん治療や、就労と治療の両立やAYA世代の支援に関する今日の取組み、さらにインターネットやSNSの普及による情報収集方法の変化を踏まえた全面改訂で、作成に当たっては改訂の計画段階から国立がん研究センター患者・市民パネルと同センター内外の専門家が協力して議論を重ね、「がん経験者やその家族のリアルな声」を反映した。具体的にはがんの疑いがあると分かってから、経験することを、▽診断されたとき▽検査▽治療法▽治療中に体に起こること▽診断後の生活▽治療のあとのこと――として時間の経過に沿って章別に掲載。また時間の経過に限らず、生活に関することや、お金や制度に関することなど、知っておきたい情報を網羅的にまとめた。加えて、診断時や治療中の気持ち、副作用や後遺症との付き合いかた、家族や周りの方とのことなど、経験者ならではのさまざまな場面における「リアルな声」を掲載したことも特長だ。
治療法が進歩したとはいえ、がんという病気のインパクトはやはり大きい。診断され、動揺して悲観する人は少なくないだろう。しかし不安や恐怖から、あるいはインターネットの不確かな情報を鵜呑みにして、治療介入を遅らせてしまうことはあまりにも時間がもったいない。同ガイドは12月12日から全国の書店で販売されるほか、がん情報サービスウェブサイトでPDFを全文公開する予定だ。ガイドを通して適切な情報にアクセスし、適切な時期に適切な治療選択を行う患者が増えることを願う。
(2025年12月5日掲載)
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