オピニオン
JR脱線事故から医療が学ぶべきこと
「安全・快適・正確」。世界にそう誇ってきた日本の鉄道で事故が起きた。JR西日本福知山線脱線事故。死者は100人を超え、戦後4番目の大惨事となった。現在様々な角度から事故原因を究明しているが、そのひとつに運転士に対する再教育があげられている。
「厳しすぎる再教育」――。JR西日本の教育システムについて、一部のマスコミでは、こう報じている所もあるが、人の命を預かるものとして、ミスをおかした者の再教育を厳しく行うというのは当たり前のことだと思う。ただ、それが、安全管理の強化など仕事の質向上にきちんと結びついていたかが問題ではないのか。ただの懲罰的であり形式的な教育では意味がない。重要なのは「2度と同じミスをおこさない」こと。そのための「再教育」である。
今回の脱線事故は医療と通ずるところが大きい。「医師の再教育」「ヒヤリハット事例収集」――など、医療安全に向けて現在様々な対策が講じられているが、それらが一体何のために行うのか、この機会に今一度問い直してもいいのではないか。膨大な情報量となるヒヤリハット事例だが、それらがきちんと事故防止に繋がっているのか、ただの事例収集に終わっていないか。今年度から試行的に実施する医師の再教育においても、医療事故をなくすという本来の目的ではなく、医師免許更新制度の「代替」という形式的なものとならないのか。重要なのは「2度と同じことをおこさない」こと。そのための対策である。今回の脱線事故から医療が学ぶべきところは大きい。
(2005年5月20日掲載)
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◇M&AとR&D (2005年6月3日掲載) |
◆JR脱線事故から医療が学ぶべきこと (2005年5月20日掲載) |
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