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ロボットが人の目の行き届かない臓器の裏側にまで手を伸ばし正確に手術する。医学と工学のコラボレーションは、高齢者のための癒し、介護、予防面にも、実践的な開発が着々と進められている。 〈アニマルセラピーとして〉 動物がペットとしてセラピー効果のあることは言うまでもないが、生き物に直接手を触れることは避けたい。アレルギー、噛み付き事故、感染症の危険等々、施設に自由に連れこむことはできにくい。 そこで、ロボットの開発が提案されていたが、まず第一に選定されたのはアザラシ。犬や猫は身近すぎて比較されやすく得策ではないとか。普段手を触れることのないアザラシが愛らしく適格だという。 開発上の最大のコンセプトは「昔、赤ちゃんを育てた感触、思い出を想起させること」。 マイクロホンによる聴覚、センサーによる触覚・視覚等の機能が人工知能付きで高性能を発揮する。特定の飼い主に合わせれば、その好みに応じた行動も可能。世話が簡単で、ペットの悲しい死を心配しないでもすむ。 当然の成果として、気分の向上、うつ状態の改善、ストレス低減等、心理的にも生理的にも効果は申し分ない。その上、会話の活性化という社会的効果も実に大きい。脳機能改善で痴呆症治療にも実践的に役立っている。 〈会話型ロボットとして〉 会話レベルはまだ5才児程度だが、既に、独居高齢者との話し相手として活用、世界初の感性コミュニケーションロボットとして大変注目されている。 高齢者を気づかう日常会話が設定されており、老人性うつ、閉じこもり、認知症等の予防に好適。更には、緊急通報や安否確認といった見守り機能まで高性能研究は進んでいる。 高齢者の脳を活性化させるために、なぞなぞや記憶ゲームで右脳をトレーニングしたり、計算で左脳をトレーニング、合計15ものテーマに沿った会話が用意されている。 「孫が居るよう」「会話が増えた」などの具体的成果があがっている。 無断で外出しようとした入院患者対策に、夜間出入口にロボットが待ち構え、「どこへ行くの」「外は寒いよ」「お部屋に戻って」などと足止めしているうちに職員がかけつける。人手不足を補う存在としても大きな期待が高まる。
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