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TVべったりが何かとからだに良くないことは常識化しているが、どういうわけか、最近世界各地から集中的に、その悪影響ぶりが研究報告されている。 まず、子どもに対する弊害。「3才児の攻撃的行動にTV長時間視聴が悪影響」と、ニューヨーク州立大が指摘する。 アメリカでは、かねてから幼児に対するメディアの悪影響について医学界に厳しい考え方が定着しており、「アメリカ小児科学会」では公的に“2才未満の幼児に映像メディアは極力見せない”よう推奨している。 今回の研究は、約10年前に生まれた子どもを持つ母親3千名余からの聞き取り調査で、長時間視聴と攻撃性との関連を鋭く追及。TVを見続ける背景として、規制されない「しつけの甘さ」があり、そこに「コミュニケーション不足」が生まれ、そして、より良い快活行動に費やされる時間が減少することを明らかにした。 イギリスのグラスゴー大学からは「長時間TV視聴で小児喘息リスク倍増」という報告もされた。 次に、成人対象では「長時間のTV視聴が心血管疾患関連死リスクに」という警告だが、オーストラリアから発信されている。25才以上約9千名を7年間追跡している。 1日のTV視聴時間が1時間増すごとに、心血管疾患死のリスクが18%増大することを確認。1日2時間未満と4時間超の2群間比較では、後者のリスクが80%も拡大することを明らかにした。 休日ついダラダラとTV人間になってしまう怠惰生活は猛省しなければなるまい。 なお、さらにこの研究者の厳しい忠告がある。「本来ヒトのからだは動くように作られているのに、筋肉をほとんど活用しないまま1日過ごしてしまうことが多い」「運動・座位・睡眠をバランスよく配分しなさい」と説く。 なお、この長時間座居生活に対する警鐘がスウェーデンからも。「座ったままの生活は命取りに」とズバリ、ドッキリの報告がある。 運動不足状態でも、意識的に取り組めばすぐ少々のマイナス分は取り返せると思いがちだが、この研究では、その甘さを厳しく指摘。あまりにも長時間座居で居続けると、それによって引き起こされるからだの分子的・生理学的反応とやらは、たとえ強度の運動をしようとも、単純には相殺できない、と断言する。 「不景気でTV視聴時間増」という新聞の見出しを最近目にした。(スカパー調査) 不景気風が吹けば不健康になる、という方程式は絶対成立させてはならない。
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