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「あなたの『肺年齢』は65才です」 実年齢が、まだバリバリの45才だというのに、突然プラス20もハネ上がり、肺機能が高齢者同然と言われたら、だれしもショックはかくせないだろう。 知らずしらずのうちに、肺の炎症が慢性化し、肺胞が気腫化してしまう肺病(COPD・慢性閉塞性肺疾患)が今、大変注目されている。 とにかく、生きていく上で秒単位で必要とする呼吸が、息苦しいというのは何より避けたいこと。40才以上の10人に1人という患者の多さは実にあなどれない。 そこで、その肺のダメージ度を肺年齢測定という観点で解りやすく提示し、一日でも早く適切な治療態勢を、という積極的な患者指導が具体化されようとしている。 呼吸機能検査は「スパイロメーター」なるものにより測定され、これまで「一秒量」なり「一秒率」として示されていたが、とにかく一般の患者にはチンプンカンプン。心電図は99%の人が知っていても、スパイロメータは99%が知らない。 そこでとっつきやすく、肺年齢に置き換える計算式を導入、一気に説得力が増した。 日常生活において、まだ何の不自由さを感じていないのに、つまり“息ぎれ”“咳”などの自覚症状がなくとも、軽症レベルを放置しておくと必ずいずれ危険状態に突入する。 COPD対策は、とにかく早期診断・適切な治療が基本であり大切。肺年齢測定はその認識と治療のきっかけ作りに大いに役立つわけである。 イギリスの研究グループは伝えている。 「喫煙者に肺年齢を伝えることで禁煙率がアップした」たしかに肺年齢の言葉の重みを感じる。 呼吸機能が低下すると運動が制限され体重が増す。COPD患者が高血圧、糖尿病のリスクを2倍に増すというのも当然であろう。 これまでスパイロメーターはそれほど普及していなかった。最近は関心度が高まり、価格も20万円以下にもなり、国内で数社から発売が予定されている。 開業医への普及も高まり、検査が一般化することで、国民の福祉増進に役立つことが期待される。 将来的には、現在一般家庭に広く取り入れられている「家庭用血圧計」並に、健康機器としてスパイロメーターの簡易版が実用される可能性が考えられる。 そんな中、呼吸の筋肉を鍛え、息が切れにくくなるトレーニング器具が発明販売され、患者には朗報となっている。
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