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五十肩はなんともうっとうしいものだが、「放置しておいてもそのうちに治る」なんてことも言われ、その時がくるまでじっと我慢と不自由さを強いられることが多い。 昔からずっと続く厄介な疾病だけれども、やっと然るべき対処法が現われた。外来で、わずか20分程度という超短時間のうちにスカッと治してしまう画期的新手技が開発され注目を浴びている。 秋田市・城東整形外科・皆川医師の考案によるもので、「神経ブロック下授動術」と言われる新テク。2010年よりこの様式による治療を積み重ね評価が高まりつつある。 肩関節支配の神経根周囲に麻酔薬を注入した後、腕を動かし、硬くなった関節包を徒手的に破断させ、拘縮を解除する。 従来の治療では、なかなかラチがあかず、多くの患者が困り果てていたが、申し分ない効果の上に治療費も安く上がり、極めて好評である。 五十肩は、急速に進化した診断力によって数多くの疾患に細分されている。腱板断裂、石灰性腱炎、上腕二頭筋長頭腱腱鞘炎などの肩の痛みは、それぞれ個別に管理され、それ以外の明らかな原因がなく、一次性の痛みと可動域の制限のあるものを「五十肩」(狭義の五十肩)と診断し、分離して取り扱う方向にある。 また同時に、この狭義の五十肩は、国際的には、フローズンショルダーと呼んでおり、その直訳語「凍結肩」を、国際的整合性をもたせる意味で使用しようとの考えがある。痛くて動かない状態を凍結とはうまく言ったのものである。 五十肩は、現在のところ保健病名としては肩関節周囲炎として診療されている。つまり、保険病名としては、五十肩も凍結肩も、その他細かく解明された個々の診断名も一切認められていない。 だが、病態と病名との間に矛盾点が。いわゆる五十肩と言われるものは、関節包そのものに病態があるもので、肩関節の周囲に存在するものではなく、表現として正しくない。 できるだけ忠実に言い表わそうとすると、「突発性肩関節包肥厚性制動症」となるわけだが、いかにも長ったらしくセンスがない。いっそのこと「凍結肩」の方がスッキリして解りやすい。そんな意見が学会中枢部から出ており、江戸時代からの歴史ある五十肩の周辺が揺れにゆれている。
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