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死因の第1位は、がん死である。医学が驚異的に進歩しているが、その勢いは止められない。 日本が長寿国として、世界第1級の栄に浴し続けていられるのは、がん以外の死亡が、目ざましい診断・治療技術の進化により激減したからにほかならない。 がんは老齢化により必ずといってよいほど発症する。実験動物ラット、マウスも加齢で自然発症することが確かめられている。我々は、ただ願わくば若くして発症しないよう祈るのみなのか。 我々はヒトとして、少しでもがん発症を阻止する、或いは先延しする知恵を働かせなけねばならない。 がん発症には、化学物質、ウイルス、放射線等が深く関与している。 このうち特に注目しなければならないのは発癌性化学物質。最近話題のアスベストは、中皮腫や肺がんを発症しやすい建材として誰でも知る存在となった。このように、工場等で高濃度に曝露され続け、工員中心に発生するがんは「職業がん」として大いに危険視される。 染料工場では膀胱がんが、また塩化ビニルを常に扱う工場では肝臓がんの発症が心配される。更には、マスタードガス利用工場では肺がんが多発する。 庶民レベルの日常生活における基本姿勢としては、食事に含まれる発癌性化学物質の存在認識であり、これを近づけない工夫が必要。 食品含有発癌性物質として広く知れ渡っているのは、肉魚類の焼け焦げ。それに含まれる毒素・ヘテロサイクリックアミンが肝をはじめ体内の至る所にがんを発生させる。 ピーナッツ類に寄生するカビに発生するアフラトキシンも大変な脅威。口に入るものとしては最悪の発癌物質で、WHOの4グループ分類中最強のグループ1に指定されている。 始末に困るのは、体内で作られてしまう発癌物質の存在。魚や肉中の特種アミン類を野菜等に含まれる亜硝酸塩が、胃の中で化学反応し、毒素ニトロソ化合物を生合成してしまう。これにはどうにもお手上げで、実質的に不可避、生命有限の運命的現象を悟らざるを得ない。 イギリスの著名研究者ドール博士は、がんの原因として、その35%はライフスタイル、特に食生活に起因する、と述べている。 発癌物質として疑われるものは極力口にしないことであり、発癌を極力先延ばしすること、できれば“天寿癌”にまでもっていければ最高だが。
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