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多くの医師が初診時、まず気にかけることは患者の外見上の推定年齢。健康状態を判断する指標として大変重要視する。 外見年齢と実年齢とのギャップが、余命に実際どの程度の違いを示すか。大変興味深い調査が、デンマークで1800人余の双子を対象に実施された。 結果は予想通りと云えようか、双子のうち年齢が高く見える方、つまり老けて見える方が早死にする可能性の高いことが明らかにされた。 特に、70才以上の高齢者ともなれば、老けの様子が生命予後を予測する因子として極めて信頼性の高い老化バイオマーカーとなることが判明したのである。 固体の老化度を示すバイオマーカーとしては、血管年齢やら胃年齢、或いは肺年齢、神経年齢等が何かと医療市場を賑わしている。だが、この調査では、外見年齢こそが最も優れた老化バイオマーカーであると自信タップリに主張している。 バイオマーカーとしては、他に各種ホルモンや酸化ストレスマーカー、更には細胞の分裂寿命を規定するテロメアの長さを測定するアンチエイジングドッグの研究等があるが、これらを押しのけて「外見年齢」こそがベスト因子だと云い切っているのが、非常にシンプルであり印象深い。 しみ抜きやしわ取りなど若く見せる美容外科や形成外科が、ビジネス的医療として批判的にみられがちであるが、皮肉なことに、今回のデータではその効果がしっかり容認される状況になっている。 活気があり豊かな表情作りが、若く健康な顔貌の特徴であり、逆に“仮面様顔貌”とか“ムーンフェイス”とか呼ばれる暗い表情は、明らかに何らかの疾患を抱える、いわゆる病態に見られる。 一般の社会生活では、“顔色が悪い”とか“むくんでいる”“お疲れのご様子”などと気になることを言われる機会も多い。できればそんなことのないよう、常に若作りを心がけたいものである。 高齢者施設では、化粧をしてあげると、それまで暗く無口であったおばあさんが、急に生き生きとした表情に切り換わり、若い男性職員に軽口をたたくほど元気になるということである。
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