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今の時代は、ほとんどのカップルが恋愛期間を経て結婚にゴールインする。新婚とはいえ、性行為が初めてなんてウブなことをいうことはまず考えられない。「そんなこと目をつぶっていてもできるさ」と一蹴されるだろう。 だが昔、見合い結婚華やかなりし頃は当然セックスに不慣れ。“新婚インポテンツ”なる現象が結構多く見られた。初めての性行為という緊張が失敗を生み、それを繰り返すことでますますアセリをエスカレートさせてしまう。当時、セックスカウンセリングを訪れる結婚カップルの訴えの中では、“勃起障害”が圧倒的に多かった。 だが、その様相が昨今はガラリと変容、カウンセリングの主訴が“性欲障害”にとって変わったのだ。恋愛生活でホットな愛情交歓が当然あっただろうが、どうもそれも一時的で、冷めるのが極めて早過ぎる。 「わざわざセックスするなんて面倒だ」 失礼だが、まだまだ若造のくせに、神聖なる性に対する淡泊さが妙に気にかかる。 ただこれが一時的なわずらわしさからで、器質的な勃起障害でないとすれば、敢えて問題視することはここでは差し控えるが、中には全身的健康面にかかわる危険性が秘んでいることを承知しておかねばならない。 「なんだが急にムスコに元気がなくなってきた」。特に、中高年になるにつれてこんな心配がでてきたら、全身の血管レベルのトラブルをチェックしなければならない。 先ほど開催された「国際性機能学会」で、「勃起障害は全身の動脈硬化性疾患の中で最初に現れる症状」と警告が発せられ、「勃起障害の気が感じられたら心血管疾患予防を見据えた診断と治療が肝要」との見解が示された。 心血管疾患に先行する理由としては、動脈硬化は細小血管から始まり大血管に及ぶメカニズムからして当然。勃起障害出現から2~3年後が心血管予防の勝負どきと指摘する。一時的に精力剤等でごまかさず、徹底した全身オーバーホールがのぞまれる。生活改善はもちろんのこと、高血圧や糖尿病の疑いがあれば、その適切な管理が急務となる。 また、勃起障害者を対象とした疫学調査では、冠動脈疾患、及び脳卒中とのかかわり合いをまとめ、10年以内の発症リスクが、それぞれ65%、および43%高いことが明らかにされている。 勃起障害は、生死に直ちにかかわる疾患ではないとして、ややもすれば軽視されがちである。だがその背後には、全身性の動脈硬化という死に直結する病魔がヒシヒシと押し迫っていることを強く厳しく認識しなければならない。
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