メディカル・エッセイスト 岸本由次郎  
 
医言放大
 
男女交際を面倒がる高校生
 
   昨年夏に開催された日本思春期学会で、岩手県の高校生9000名余を対象とする性調査で「男女交際を望まない生徒が大幅に増加した」との発表があった。
 男女交際を望んでいる生徒は、男子が57%、女子48%に留まり、2001年の前回調査時の男女共70%超から大変動した。
 なお参考記事として紹介するが、ウォールストリートジャーナルは、2011年1月に次のような調査報告を掲載している。「日本の16~19才の男性の36%が自分を草食系だと考えている」と。
 現在の状況はほぼ43%草食系とみられ、明らかに女性への関心が薄れてきているといえる。
 こうした状況を理解するには、背景に性同一性障害などを含む性的マイノリティがあり、その実態を正しく把握する必要がある。
 今回の調査では、性的マイノリティは890人(10・1%)存在し、内訳はレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、Xジェンダーなどである。
 この世の人間社会には、男性と女性のほかに、男寄りから女寄りの幅広い中性の3種が存在する。
 現代社会では、こうした性的多様性は十分尊重し、それなりの対応が必要である。
 さて、先般開催されたラグビーのワールドカップ・イングランド大会では、日本男子のすばらしいファイトがみられ、世界の上位にくいこみ周囲をアッと言わせた。
 桜のエンブレムの付いたジャージーを身につけ、トライに突き進む選手たちの姿にはただただ心の底から感動させられた。
 これまで全く関心も知識も無かった多くの国民を一瞬にして大ファンに取り込んでしまった。
 キーワードは″ジャパンウェイ″だ。体格のハンデを俊敏性と持久力で補う、これぞ日本人魂という戦い方で世界の強豪に堂々立ち向った。素速いパスや連続攻撃、低い鋭いタックルがチームの持ち味だ。
 高校生という年代は、本来性衝動の人生最大の活動期である。この際いいチャンスである。ラグビー選手が見せてくれたファイトを若者らしく男女交際の場に、清らかにそして紳士的に正々堂々発揮して欲しいものである。

(2016年1月29日掲載)
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(2016年2月12日掲載)
◆男女交際を面倒がる高校生
(2016年1月29日掲載)
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(2016年1月15日掲載)