|
今、全国的にあらゆる職種、業種に亘る広い範囲で、精神的に不調を訴え、休業する人びとが目立って増えている。 全国健康保険組合が調査した現金給付受給者状況(12年度分)を見て、特に目立つのが「精神及び行動の障害」を原因とする支給件数の多さ。 12年10月時点の傷病手当金、つまり、労務に服することができず休業している人に支給される補償金全体の中のなんと4分の1強(25・6%)が、精神疾患による受給で占められている。 95年時点では、わずか4・5%弱にすぎなかったのが、17年間でなんと5倍増に。休業補償金としては死因第1位にあるがん患者を上回り、原因傷病のトップを占めている。 ストレス社会の趨勢を反映しているとしても、極めて異常と言える伸長である。 メンタルヘルス不調者が休業に入るとなると、まず必要とされるのが医師による「要休業」の診断書。だが、実情としては、精神専門医ばかりが発行しているわけではなく、一般医でも多く取り扱われている。 また、職場で休業などの判断に関わる産業医は、日医認定の嘱託医が大多数を占めてはいるが、その専門は精神科医に限らずさまざまな科の臨床医が担当している。 不調者が病気休業に入る場合、興味深いのは対照的な2パターンが見られること。1つは休業を積極的に希望するケース。もう1つは、逆になかなか休業に同意しないケースだ。 こうして、その対処に当っては、スタート時点から慎重な取り組みが要求される。 運営ルールの基礎は法規に基づくが、従業員の健康への配慮が最優先されている。主治医、産業医の意見を踏まえ、各社各様の就業規則により休職、復職の判断が下される。 国家公務員の場合は、いろいろな点で民間企業と異なる。病気休暇期間については90日で、その後最長3年間の休職に入るが、給料に相当する傷病手当金はしっかり支払われる。 通常、民間会社の就業規則には「最長3年間の病気休業が可能で、通算1年6か月の傷病手当金が支給されるが、復職後6か月以内に連続して3日以上欠勤した場合には会社が再休業を命じる」とある。 13年度からは、社会環境の変化に応じて一定割合以上の障害者雇用が義務付けられ、さらに、18年度には、法定雇用率の算定対象として、身体障害者及び知的障害者に加え、新たに精神障害者が入る。 そのため、障害者の仕事力のアップをサポートする就労移行支援事業などが、各地で展開されている。
|