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精神疾患で休職する教師が年々増え続けている。全国公立学校の教員対象の調査では、2009年度5458人にのぼり、休職者全体に占める精神疾患の割合が63.3%と圧倒的に多かった。 1999年度の精神疾患休職者は1924人であり、この10年間で2.8倍もの増加である。なお、3か月~9か月程度の病気休職中の教師は、集計対象から除外されているため、水面下の実態数は公表数値を数倍上まっていると推測され、極めて憂慮すべき状況にある。 しかも、年代別構成比をみると、休職者の74%もが40歳台以上のベテラン層が占めており深刻だ。特に50歳台が39%と、全教員構成比の32%を上回っている。 こうした実態を十分推測できる状況として、年間2万人程度が、定年或いは勧奨退職をしているが、それに含まれない早期退職者の中で、病気理由のうち約半数が精神疾患によるものであった。 公立校には、当然異動制度があり、特に異動後初期に大きな精神的苦労を味わっていることが伺われる。つまり、移動後1年目の受診者が34%を占め、2年目も23%と多く、2年以内で全体の過半数を占めるという。 一般企業勤労者と比較して目立つことは、1、2年目で休業する率が極めて高いことで ある。 教師の感じるストレスの原因のうち、最も割合の高いのは生徒指導であり、次いで同僚、管理職との関係や、保護者対応などが続いている。 勤労者の異動は、通常は同時に職務内容も変ったりするが、教師の場合は同一業務で ある。にもかかわらず、異動後初期は不適応のリスクが高い。職場の支援体制が十分機能していないことが最大要因とされる。 折角病状好転し、復職の段階を迎えても、なかなかすんなりとは入りこめない。 教師の場合、代替業務がなく、即、教壇に立つしかないわけであり、他職種以上に復職には苦労する。 学校での総仕事量は、一昔前とは比較にならないほど増大しており、教師一人一人の業務量には全く余裕がない。こうして、復職直後といえども、1人分の業務は自らしっかりこなさなければならない。 もしここで処理しきれないとなると、他の教師にしわ寄せが及び、新たな不適応を生む心配が生ずる。ギリギリの教育現場から、その調整の悲鳴が聞こえてくる。
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