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沖縄県人の不健康化が大変気になる。特に男性では、長寿順位が24位へと急降下してしまった。一番の原因として、55~59歳の虚血性心疾患が死因第1位に踊り出たことがあげられる。 敗戦により、各地に大量のアメリカ軍人やその家族が駐留し、以来60年、生活の源流をなす食文化の影響を最も大きく受けたのは沖縄である。元気溌刺たる沖縄少年も、長年の悪玉コレステロールに害され続け、実年となった今日、動脈硬化の餌食となって、あわれ昇天していく現実は実に悲劇である。 フライドチキンやハンバーガーで代表される食生活で育つアメリカ人は、50歳以上のなんと85%が動脈硬化症という。アメリカでの処方薬の売上順位(‘04年)をみると、ダントツの1位2位が共に高脂血症薬であり、現在、製薬各社の中心戦略は動脈硬化の直接制圧にあるという。 日本の動脈硬化症は、いまのところ35%に留まっているが、20年前は20%にすぎなかった。ファーストフードの上陸がいかに日本人の肉体を蝕んだかが明々白々である。 日米人双方のコレステロール値を比較すると、45年前には大差で日本人の方が低かったが、次第に日本人が上がりアメリカ人が下がるという傾向が続き、5年前にはついにほとんど差がなくなってしまった。 現在、アメリカは肥満解消に躍起、日本の伝統食をヘルシー食として積極的に取り入れている。日本人がスシを提供し、かわりにハンバーガーを手に入れるという妙な構造ができ上がったのだ。 それにしても、企業の経営者は辛いもの。若干60歳で急逝したマクドナルド社社長の死因は、なんと自社品キャンペーンで、1日3個のハンバーガーを食べ続けたからだといわれている。 似たような話で、肥満テーマの映画監督が自らモデルとなって、1日3食30日間ハンバーガーやポテトなどを食べ続け、11キロも肥ったという実話がある。体重を元に戻すのに、なんと14か月も要したということである。 沖縄県人にしても、いったん脆く変質してしまった体を、元に戻すには相当な覚悟が必要であろう。 しかし、長寿順位低落という現実を真摯に受けとめ、昔からの郷土食を中心に健全な生活習慣に戻せば、栄光の返り咲きも夢ではなくなる。
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