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日本の成人の喫煙率は、現在20%を若干切るところまで改善が進んでいる。成人5人に1人の低レベルに到達したとはいえ、あいかわらず喫煙による死亡者は多く、12・9万人という数字は、全死亡原因の第1位である。 その内訳は、がん死(7・7万人)、循環器疾患(3・3万人)、呼吸器疾患(1・8万人)等で、喫煙による健康被害は体内各所に及び、結果、死因第2位の高血圧(10・4万人)を凌いでいる。特に、喫煙によるがん死は、全てのがん死(35万人)の4分の1近くを占めているのが目立つ。 先般、健康日本21の改正が厚労省より告示されたが、喫煙率については12%に低下させることが盛り込まれた。 その設定の根拠は、現在禁煙したいと思っている人が喫煙者の4割近くいて、これらの人々を全て禁煙させるとして算出されたものである。つまり、単純に、現行の喫煙率20%の4割ダウンということで12%という数字がはじかれたわけである。 12%という数字は、偶然ではあるが、男性医師の喫煙率であり、決して不可能な数字ではない。ただ、男性医師としても、04年時喫煙率21・5%から8年かかっての努力成果であり、そうやすやすと成し遂げられたものではない。健康日本21(第2次)の今後10年間のうちになんとか達成するという信念は強く保ち続けることは必要であろう。 日本医師会は、先に禁煙日医宣言なるものを採択し、国民の健康増進と医療の守り手である医師の役割を強く認識し、禁煙率向上に取り組んできた結果である。 00年の日医内喫煙調査開始時点より、12年は男女共喫煙率を半分以下に低下させており、それなりに高く評価してよいであろう。 日医は、こうして大変な努力を払って禁煙に努めているが、世界に目を転ずれば上には上があるもの。 男性医師の喫煙率として、イギリスではわずか2%(00年)と低率、アメリカ3%(91年)、スウェーデン6%(01年)などと立派な成果を誇っている。 日医内も呼吸器科専門男性医師に限っていえば、現行でも喫煙率6・7%というレベルに到達している。 なお一層の職業意識、モラル感をもって、我々国民に範を垂れて欲しい。
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