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世界的に今、若い女性のやせ願望が問題となっている。やせたモデルに憧れる実態を憂慮し、イスラエル、イタリア、スペイン、フランスなどは、BMIが18・5以下のやせ過ぎ女性のファッションモデル禁止を決めた。 日本でもやせ願望は強く、実際20代では2割以上がBMIが18・5以下の状態にあり、なおもその傾向は強まっている。 問題はこうした女性が、いずれ結婚、妊娠した時の胎児への悪影響だ。胎児が急速に発育しようとしているのに、妊婦の摂取エネルギー量の不足が長く続くと、必要な栄養素がカバーされない。 例えば、極めて不幸なケースとして葉酸の摂取不足による先天性奇形の二分脊椎症児誕生の危険。日本では未だに増加傾向が続く。 やせママのお産では、出生体重の低下、それに伴う各種疾患多発傾向が必然的であり、健康な次世代を生み育んで欲しい日本の将来に暗雲が立ち込めている。 栄養不足の子宮内では、胎児の体は低栄養でも生き抜けるように変化していく。そのため生後カロリー過多の環境に対応できなくなり、糖尿病などの発症につながる。 これは「ミスマッチ現象」と呼ばれ、こうした子供は一生或いは次世代まで、その体質を存続していかなければならない。 女性は中年にさしかかると、BMI、ウェストとも増大し、エネルギー過剰状態になるのが一般的。特定健診2千万人強のデータで、40才代から70才代まで男性のBMI、ウェストが横バイ状態であるのに対し、女性はBMIで21・6から22・8に、ウェストで76・5cmから83・0cmへと明らかな増大が見られる。 中高年期では筋肉量減少により基礎代謝が低下、生活活動量の減少も相まってエネルギー消費量が減少、脂肪蓄積につながる。 肥満によりさまざまな生活習慣病を引き起こすことになるが、日本女性が世界一の長寿の栄誉に輝いていることは事実である。 だが、その中味が感心しない。晩年に13年間もの長きに亘って、ほとんど寝たきり生活では全くさまにならない。 日本女性が名実共に世界一級の一生を謳歌していると認められる日が1日も早く到来することを期待してやまない。
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