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最近知った話だが、大阪には“感動映画鑑賞会”的サークルがあって、週末ともなると三三五五落ち合って「三丁目の夕日」やら「あらしのよるに」などを観ては、皆で人前もはばからずオイオイと大粒の涙を流し合うそうである。 涙は心の汗ともいい、思いっきりスポーツを楽しんだあとのように気分をスッキリとさせてくれる。一週間の疲れがスーと洗い流され、また新たなファイトが沸いてくることであろう。 現代、高度複雑情報社会の中にあっては、誰しも何かとストレスがたまってくるもの。その時、血中にはストレスホルモン・コルチゾールがたまりにたまり、イライラが一層つのるのであるが、実はこのストレスの素は大泣きすることで涙と共にどんどん外に排泄されることが判明した。 地球の砂漠化が問題視される中、最近、ドライアイという奇病が増えてきて涙を流し難いとなるとストレスはたまる一方。昔、水中に暮らしていた生物が、進化して陸に上がる時、眼の表面に海水を持ってきた。それが涙であるといわれる。こんなロマンチックな涙とあればなんとかうまくお付き合いを続けていきたいものである。 人は泣くことで脳波におけるアルファ波が増大しリラックスできることも、東邦大の研究で明らかにされた。更には、感動して流す涙の中には、血中の30倍ものマンガンが凝縮され排泄されることも明らかにされた。マンガンは多すぎると気分を不安定にするミネラル。涙することで感情の調節に役立つものと思われる。 人は加齢と共に円熟味が増し寛容になるが、反面、感受性が低下し反応がにぶくなるのは困りもの。体の老化以上に心の老化が進むのは極力避けたい。多くのものに好奇心を向け、刺激を追い求め続けることが肝要。 具体的な変化、効果がはっきり現われる女性の前向きな例を紹介しよう。 ある閉経女性では、突然好みの男性が出現、恋心がめばえると同時に生理が戻った、というケースがある。また、痴呆に陥り、自らが女性であることのアイデンティティを失った淋しい女性でも、久しぶりに念入りに化粧を施され美しくなった時に、施設の若い男性に対して恥じらいを見せるようになったと同時に、それまでの異常行動がすっかり陰をひそめた、という話もある。 ヒット曲に「泣きなさい、笑いなさい」というのがある。「笑い」については既に十分その有用性が証明された。それと併せて、感動し「泣き」涙することについても大いに考える価値がある。 海水たる涙の存在意義を毎日の生活の中にしっかり根付かせたいものである。
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