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横浜市営地下鉄のある駅前広場は、お昼時ともなると乳母車とヤングママがどこからか集い寄る。もちろん、乳母車には赤ちゃんがいて、そばにはヨチヨチ歩きのお子さんがアッチへコッチへ。 少子化問題っていったいどこの国のことだっけ、と一瞬とまどうほどの賑わいである。 母子の食事風景は大変ほほえましく、何げなく見つめていると、突然赤ちゃんの方から母親の口許へ食べ物が押しこまれようとしている。母親は一瞬とまどいながらも「アリガト」とほほえむ。それを見て赤ちゃんは「キャッキャッ」と叫びながらほほえみ返す。 人は、こんな小さな段階からも人の笑顔を見るのが好き。本能的に人を喜ばせたいという気持ちがあるそうである。 大昔、人類がマンモスに追いかけられて、ようやく逃げ切れた時、安心安堵の気持ちと共に「フーッ」と息を吐く。そもそもは、これが〝笑い〟へ進化したのだという。 危機回避により生命の保全が確認できた時、その安全表現として本能的且つ不随意行動である笑いが自然と生まれたものであろう。 最近は笑いの効能が医学的にも深く研究、分析されるようになり、笑うことが糖尿病にとってもいい、なんて云われる始末。ついぞ思ってもみなかった効果が、数値的に明らかにされる。 食後は誰でも多かれ少なかれ血糖値が上昇するものだが、笑ったあとの血糖値を測ってみると、その上昇が緩やかに抑えられることが解ったのである。そのわけはまだ不鮮明だが、はっきりいえることは大笑いによる運動効果。笑うことで腹筋や横隔膜が動きまくり、ブドウ糖が効率よく細胞に取り込まれると推測されている。ここしばらく運動不足ぎみという人には、できるだけ〝呵呵大笑〟することをおすすめする。 一方、お笑いが苦手な人でも、クスクス笑いにより得られる精神的効果もかなりのものらしい。面白い、楽しいといった情報が、大脳辺縁系に伝えられると、能幹等からドーパミンやエンドルフィンといった神経伝達物質が分泌され、ストレスが和らぎ気分がぐんとよくなる。 笑いは、がんの抑制因子であるナチュラルキラー細胞を活性化したり、リンパ球等の免疫成分を最適に保つなど、笑いが及ぼす医学的解明は着々と進んでいる。 笑いは大変な良薬である。いくら大笑いをしても妙な副作用の起こる心配はいらない。但し、あまり大笑いし過ぎて、アゴがはずれることがあっても、当局は一切関知しないからその積りで。
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