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歌謡曲「ブルーライト・ヨコハマ」の調べは、甘く情感のこもった世界のこと。だが、現代、視覚情報化社会に於けるブルーライトとなると、眼障害がからむ医療の世界へと厳しく一変する。 今や、この高度に進化した視覚社会は、タブレット型携帯端末、更にはインターネットなどによるブルーライト問題が大きく注目されるようになった。 総エネルギーの抑制に関する研究が進展し、白熱電球や蛍光灯からLED電球への切り換えが急ピッチで進んでいる。このLEDの本流は波長460nm前後のブルーLEDであり、健康への悪影響が大変心配されている。 ブルーライトの人体悪影響には、2つの側面がある。1つは網膜レベル問題。2つ目はサーカディアンリズム、いわゆる生体リズム機能への思わしくない作用である。スマートフォンやLED電球には、人体に悪いとされるこの波長が非常に多く含まれており、生体リズムを狂わせる。 ブルーライトによる眼科障害としては、ドライアイ症状の起こることが知られている。だが、我が国では、涙液の安定性を高める治療薬が世界でいち早く承認され、ドライアイ先進国・日本の名声が一段と高まっている。 一方、ドライアイの発現を少しでも予防できればと、ブルーライトをカットする「JINS PC(パソコン)メガネ」なるものが最近開発され、年間150万本も売れた。2012年日経トレンディヒット商品の第6位に選ばれてもいる。 ブルーライト氾濫時代の到来に、アメリカ医師会は“光公害時代(ライト ポリューション)時代がやってきた”という表現を用いて、人類がこれから長期に亘って初体験する光社会への対策の必要性を強く訴えている。 急遽、眼科医をはじめ関係研究者を総動員した学際的な「ブルーライト研究会」が設立され、2013年6月には「第1回国際ブルーライト学会」が東京で開催された。 予防策としては、PCメガネの使用もさることながら、本質的には夜遅くまでコンピュータの仕事はしないこと、スマートフォンを目に近づけすぎないことなどである。 目に入るブルーライト量は、目からの距離の2乗に反比例するとされ、近すぎると大きな障害につながる危険がある。
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