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女性の活躍を経済成長戦略の1つとして位置付ける、いわゆる“ウーマノミクス”が、安倍内閣の方針に沿って各界に広がりをみせている。 経団連が公表した女性管理職登用についての自主行動計画は、47社中約6割が数値目標を設け具体的な活動に入った。 政府は、オリンピック開催年の2020年までに、指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げている。 早速、資生堂など大手企業3社がそれに応じている。 人口減により、国内での働き手が減少するのは確実視されており、あらゆる人の能力を引き出さなければ競争力を失うとして、各企業共、女性の中枢戦力化には必死に取り組んでいる。 こうした動きは、医学会にも同様な形で広まっている。 日本精神神経学会は、本年6月の学術総会において、学会の指導的地位に女性会員を活用し、それを軸とした精神医学・医療の発展と研究を支援する「男女共同参画推進宣言」を発表した。 女子の医学部進学率は年々上昇、今や医師の国試合格者の3人に1人は女子が占めるに至っている。だが今のところ、指導的地位への女子登用は極めて少なく、当学会を含めて女性理事は1人も誕生していない。 女性幹部登用を啓発すべき理論的根拠としては、まず女性数の多い集団の方が集団知能が明らかに高い、とする研究成果があること、さらに、女性取締役がいる企業の方が業績がよいとする金融機関の調査結果があることなどの背景がある。 精神疾患患者の半数以上が女性であることを踏まえ、その対応を正しくすすめるには、当然、女性医師を支援すべきであるとしている。 女医登用は、やみくもに打ちだされたものではなく、むしろ必要にせまられて、といった方が妥当であるかもしれない。 女性は精神疾患の生涯罹患率が高く、うつ病、不安障害は男性の2倍、心的障害ストレス障害(PTSD)に至っては4倍も多い。 さらに、WHOは、一生のうちに性的暴行を受けた経験のある女性の割合が35%というショッキングな数字を昨秋発表している。 指導層に女性を増やし、社会の歪みを矯正していかなくてはいけない今、必要性はまちがいなく到来した。
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