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横浜市では高齢者がよく集まる施設には目立つところに必ずといってもよいほど「高齢者番付表」が貼り出されている。東西総数百名弱の超高齢者名が列挙されているが、その最下段でさえ99才。来年には百才の長生きができなければ、おそらく番付表に載ることは不可能となろう。 最新の「簡易生命表」によると、平均寿命は更に僅かながらも上伸した。自殺者数が過去最多等と騒がれているが、そんなマイナスファクターを考えると、いよいよ実質的には「人生1センチュリー(百年)時代」到来と言い切ってよいのかも。 人生百年を四季に例えると、中間点の50才というのは漸く春・夏を終えたところ、これよりいよいよ秋本番の佳境に入る。台風という厄介ものには苦しめられたりもするが、それをなんとかやり過せば食欲の秋、芸術の秋、読書の秋等と魅力一杯のムードをたっぷりと味わうことができる。 ほんの少し前、一世紀前は男女共その多くが50才までに一生を終えていた。つまり、秋冬の何たるかを一切味わうことなく、はかなき人生を終えていたのである。 50才前後といえば、医学的には更年期のまっただ中。女性の場合女性ホルモンの急激な欠乏で閉経をはさんで約10年間悶々とした苦しみを味わう。 男性についても最近は女性同様の症状のあることが指摘されている。有名にしたのは、はらたいら氏。クイズダービーの秀才はヘビースモーカーで毎晩はしご酒の典型的不良中年であったようで極めて重篤な更年期障害を経験している。男性ホルモンの減少は緩やかではあるがそのせいか不快症状が15年も続いたりする。 人生50年時代は幸いにも嫌らしい更年期を体験することもなく、男女ともきれいにこの世にオサラバ出来ていた。しかしその後の本来得るべき人生の楽しみ,つまり秋・冬のしみじみとした味わいをまるで感受できないとしたら、そのギャップはとてつもなく大きく悲しい。 秋を、そしてさらに老齢期の冬をも元気に心豊かに過ごそうと考えるなら、中年期を大切にしなければならない。現代の厳しいストレス社会にあっては、中年期はうつやアルコール依存、神経症等多種多様な障害におかされやすい。この時期の生活習慣の歪みが、以降加齢と共にどんどん顕在化してゆく。迫りくる老化という身体的衰退を否応なく意識させられ、その下り坂にしっかり順応していかなくてはならない。 人生50年から人生百年へ、折角四季全てを生き抜くチャンスを与えられたのである。魅惑一杯の秋はもちろんのこと、冬は冬なりの落ち着いたムードに浸る味わい方がたくさんあるはずである。
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