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丸山ワクチンが誕生して、既に70年も経ったが、その社会的評価は相も変わらず二分されている。 医療従事者の多くが、丸山ワクチンを「得体が知れない」「うさんくさい」と敬遠する一方で、「驚くべき効果」に触れたことのある数多くの患者サイドでは、一部の医師を含め「夢の薬」と呼ぶほど強く支持している。 ワクチン誕生37年後に、当初から二分された評価を巡って、国会を舞台に繰り返された大論争で、一旦無効と公式に認定されたにもかかわらず、有償治験という特殊システムにより、薬剤供給は延々と継続されている。 たとえ、末期がんと一旦診断されたがん患者でも、丸山ワクチンを使用することで、5年、10年と長期延命できるケースが多数報告されたり、たとえ体の衰えがひどくとも安心して使用し続けられる長所もあったりして、簡単に供給停止というわけにはいかなくなっている。 抗癌剤は、一般に細胞毒性があり、正常細胞にもその害が及ぶため副作用発現に苦しむ。だが丸山ワクチンは、その心配がないので、10年、20年と継続使用が可能となり、がんと共存しつつ元気に暮らし続ける患者が多数存在するのである。 こうしたねじれ現象が起こっている最大の要因は、数多き有効性を証明する科学的データ、つまり、高質な臨床試験データが欠如しているからにほかならない。 近代医学で要求されるエビデンス(科学的根拠)がスッキリとした形で構築できないのだ。「使った、効いた」では、正式な医薬品としての製造承認が得られないのである。 それでもなんとか、科学的なメスを入れられないものかと、懸命な努力は続けられている。 その1つの対象となった疾患に「子宮頚部癌」がある。至適用量設定試験から開始、20年以上経過した今日に至るも悪戦苦闘の日々が続く。 それにしても、丸山ワクチンの誕生秘話は大変興味深い。そもそものスタートは、皮膚結核の治療薬としてであり、これに驚くべき効果を認めたのがことの始まり。 さらに、ハンセン病に対する効果も認めた時、この2疾患にがん患者が極めて少ないことに気付き、がんに対する丸山ワクチンの格闘劇の幕が開かれた。 手術・放射線・化学の3大がん療法に、丸山ワクチンなどを用いる第4の免疫療法が加わった。安心、安全な優しき治療法として、一層の研究進展を期待したい。
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