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からだの異常が、まず足から現われるというケースはしばしばある。 浮腫は、その最も代表的な例である。これを見逃していると、いわゆるむくみが全身に広がることになる。 要は、足にも強く注目を払うことで、全身の異常を一早くキャッチすることが可能となるのだ。 糖尿病や閉塞性動脈硬化症といったメジャーな疾患はもちろんのこと、高血圧患者の日常のコントロールに於いても、常に足のむくみに気をつけておけば、塩分を獲り過ぎていないかどうかのチェックになる。 指で足を押してみて、跡が残るような場合には、静脈血栓や内臓疾患が疑われるので医師へしっかり相談した方がよい。薬の副作用でむくむ場合もあり注意が肝要だ。 むくみだけでなく、指先の温度や皮膚の性状等を見極めるには足は重要な部位。医者がもし視診或いは触診を面倒がるようでは超ヤブもいいところ。患者としても、靴下の破れや汚れ等を恥ずかしがらずに、見せて下さいと言われなくとも見せるぐらいの“患者学”を発揮して欲しいものである。 足は両足共見ることが大原則。血栓症を見逃さないためにも2本足の左右差はしっかり見極めるべきだ。 糖尿病では、ちょっとした足の傷でも潰瘍や壊疽に進展しやすい。糖尿病で神経障害を有するケースは約3人に1人の割合。靴ずれやたこの取り過ぎなど小さな傷でも注意が肝要である。 指を強く押して白くなった状態が元に戻るのに10秒以上かかるようでは虚血があると判断、放っておいて足の切断につながらないよう注意する。 「閉塞性動脈硬化症」は、国内推定400万人もいてなおも急増中という重要疾患だ。国際ガイドラインでも、虚血性心疾患や脳血管障害と関連した重大な全身疾患と位置付けられている。 他に、立ち仕事主体の職業病として「下肢静脈瘤」が。ソケイ部一か所を切開するだけで表在静脈を抜去できる新型機器の開発は大変な朗報だ。 医師、患者共、わずかな手間を惜しまずに足を観察することは極めて重要。それで一早く全身レベルの異常を察知できるとしたら…、これほど大きなメリットにつながるケースはそうそう多くない。
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