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高血圧状態が長く続くということは、いずれ重篤な疾患を引き起こす引き金として大変危険視される。とりわけ、早朝の高血圧は脳卒中や心筋梗塞のリスク因子として知られている。 血圧測定を早朝に実施するとなると、当然家庭血圧計の出番となる。 日中、医師の測定するいわゆる血圧の数値との比較整合性を図るためにも、家庭での測定は極力正しく実施しなければならない。 家庭血圧計は広く普及しているものの、その数値の正確性に於いては少なからず問題が存在する。市中には、指や手首の部分で簡略に測定する機器も出回っているが、それぞれ精度に限界があり、日本高血圧学会が推奨するのは上腕血圧計のみである。 実際、測定に当たってよくあるケースは、記録回数がマチマチで時に良い数値が出るまで測定し直し、その数値のみ記録、報告するという、医師にとっては全く信頼性ゼロの行為。自分の健康状態を正しく診てもらうという本来の目的を全く理解していない行為がしばしば伺えるという。 発症予防のため完璧に立ち向かうためには、早朝の時間帯に4回(起床後、排尿後、朝食前、服薬前)測定する方法が、日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインに定められている。病態悪化が気になる場合などでは、たとえ朝の忙しい時でも、それぞれ安静を保った上で血圧測定にのぞまねばならない。 早朝に測ったそれぞれの血圧の平均値が、135/85以上の場合は広義の早朝高血圧とされ、専門医の適切な指導を受けることになる。 早朝高血圧には2つのタイプがあり、1つは朝方に急峻に血圧上昇する「サージ型」、もう1つは夜間から早朝にかけて、就寝中も含めて血圧の高い状態が継続する「夜間高血圧型」がある。 いずれにしろ、早朝高血圧状態の場合は、収縮期血圧が114以下のグループと比較して、脳血管障害の発症リスクが約3倍高いという疫学調査結果が示されているので要注意。 最近は、患者が早朝測定する血圧の値をそのままストレートに医師側が把握できるメディカルリンクといわれる送信システムが開発され、患者がわざわざ測定値を記録し持参する手間が省けるようになった。 医師サイドとすれば、インターネットのホームページにアクセスすることで、処方薬の効果を即時に知ることができるし、それによって患者としても大変安心していられるわけでもあり、このシステムはすこぶる好評である。
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