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目と目が合ってビビッと来た。目がものを言う愛の始まりは人間男女間に限るだけではない。ペットショップで、潤んだひとみの犬にじっと見つめられてとりこになってしまったなんてことをたまに聞く。 赤ちゃんに母親が慈愛の目をもって見つめながら授乳する、赤ちゃんもじっと母親の目を凝視する。こんな時、母子共に「オキシトシン」というホルモンが大量に分泌される。 安心感、信頼感といった感情の高まりによって反応するが、最近、人と犬との見つめ合いによっても同様に分泌され、その量は飼い主とペットの見つめ合う時間に比例することが確認された。麻布大他の共同研究結果が、有名科学誌「サイエンス」に今春掲載された。 動物にとっては、或いは人間同士でも、相手を直視することが、時に威嚇のサインになることは十分解っていることだが、相手がペットとなると話は別、これ以上の親愛のしるしはない。 私の遊び友だちY氏のペット犬との交流もそんな突然の出会いから始まった。だが、困ったことに大変な病弱犬で、毎週のように動物病院通い。都度数万円を支払い、2か月間で購入額をはるかにオーバー。見かねた販売業者が犬の交換を申し出たが時既に遅し。Y氏家族にとっては、購入したばかりとはいえもはや我が子同然、とても手離す気になれなかったという。 別の友人K氏のペット犬は、逆に元気そのもの。電話口でキャンキャン吠えて会話にならない。元気があり余って、とうとう散歩中に主人を引っ張り過ぎ、道端に転がし骨折までさせてしまった。それでも○○チャン○○チャンと言って愛すことをやめない。 可愛いからといって、異常ともいえるペットとの接近は要注意。時に感染症、つまり、人獣共通感染症をうつされることがある。その疾病数は多く、我が国でおよそ30もあり、その代表格にパスツレラ症がある。マンションなど気密性の高い住居を背景に著しく増加しており、死亡例も急増中とのこと、侮るわけにはいかない。 犬は昔は室外飼いが普通だったけれども、今では室内飼育が圧倒的に増え、生活様式が大きく変化した。ペットの可愛いのはよく解るが、共通感染症予防のためにも、ペットとの良好な関係作りが大切である。
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