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若者は、かっこいい映画シーンにストレートに影響を受ける。ダートマス医大(米)は、そんな若者(ティーンエージャー)を対象に2年間密着調査を試み、飲酒シーンから数々の悪影響を受けることをつきとめた。 まず、その2年間で飲酒を始めた若者の割合を調べたところ、この種の映像をほとんど見ることのない若者では、特に変化はなかったが、飲酒シーンのある映画をよく見る若者の場合は、11%から25%と2倍以上の増加が認められた。 また、連続5杯以上の飲酒を大量飲酒とした場合、その割合が4%から13%に3倍以上跳ね上がったことも確認された。 おとなは、長年の痛飲、或いは愛飲の体験をもとに、自らの適量を把握し、酒を百薬の長としてたしなめるようになる。時にアルコール依存症のはみだし者もでるが・・・。だが、きのうきょうお酒の味を覚えたばかりの若者は、かっこよさにまかせて、ひたすら興味本位につっ走ることが多い。 アルコールなどの嗜好品は、よく映画シーンの中に広告として利用される。「プロダクト・プレイスメント」といって、映画のほかテレビなどにも商品そのものやその名前を幾度となく登場させ見せつけることにより、観客の脳裏に強く印象付けようとする広告手法の1つである。 かって、たばこのプロダクト・プレイスメントが華やかなりし頃は、人気俳優を利用した喫煙シーンがいやというほど登場した。その後煙害が国家的公衆衛生問題として浮上、大禁煙キャンペーンが全米で展開され、たばこを扱ったこの広告手法は禁止されることとなった。 今回調査結果を公表した研究陣は、アルコールにもこの広告手法の禁止を訴えている。現状、ハリウッド映画の半数に1種以上のアルコール銘柄が登場しているとのことである。 若者への直接インタビューでは、10人に1人がビールやワインなどブランド名の付いたTシャツや帽子等の商品を身に付け、得意がっている様子が伺えたという。 ハリウッド映画興業収益の半分は海外分で占められている。つまりは、国外への責任も背負っているわけであり、そうした国々の若者への悪影響を考えると、国際的正義感に立脚した広告規制等、適正なる行動規範の確立が求められる。
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