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女性愛煙家が結構目立つ。ドラッグストアのある田園都市地区チェーン店で、概略調査をしてみたら、ざっと2割強が女性。その過半数が20、30代の若い女性で、よほど忠告をとも思ったが、営業妨害でそれもならず、ただただタメイキをつくばかりだった。 先進国では、男女共々ようやく喫煙の弊害が周知徹底されてきて、喫煙率が着実に下降してきている。 日本についても、トータルでは減少しているものの、残念ながら若い女性層に於いては増加傾向がみられる。子どもを生み育てる立場にある大切な身を思うと日本の将来が心配になってくる。 喫煙が身体に悪いことは概念的には理解しているのだろうが、女性に対して男性以上に重くリスクがのしかかる事実を、多くの女性、否全ての女性が正しく認識できていない。 まず、超重要基礎疾患である「高血圧症」の危険度比数。もちろん男性も、オッズ比4・8倍と、喫煙が高血圧を発症させる最大要素であることには違いないが、女性はその約倍の8・2倍という大変な危険リスク。健康を悪化させる諸悪の根源となっている。 今やタバコといえばCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が云々される時代だが、喘息も含めて呼吸疾患についても、女性のタバコのみは男性以上に発症しやすく、その程度についても強く悪影響が及ぶとされている。 更に、心臓に対しても然り。狭心症や心筋梗塞の発症数そのものについては、女性は男性より少ないものの実にタチが悪い。予後不良を招きやすいという厳しい評価があり重症化しやすいのだ。 その理由の1つとして、特に閉経による女性ホルモン分泌の激減がある。女性ホルモンには動脈硬化抑制作用があり、若いうちはともかく、還暦近くなると動脈硬化症が急増する。もともと、そのような体内事情があるのに、喫煙という要素が加わることで発症の危険度が倍加するとみられる。 更にさらに、女性はタバコ依存度が男性より強いことが認められている。一旦始めたらなかなかやめられなくなるのだ。 こうして、男性以上に多くの弊害を被る喫煙女性に対して、この現実を広く正しく伝える必要性が生じてくる。男性としては自らの禁煙を前提に、恋人や配偶者に対してはもちろんのこと、周囲の女性にも広く厳しく啓蒙する義務感をもたねばなるまい。日本の輝ける将来のために。
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