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医(療)行為は医師のみにしか認められていない。つまり、日本では法的には医師の特権事項となっている。(医師法第17条) だが昨今は、さまざまな社会情勢の変化により要請が高まり、看護師にも正々堂々幅広く医行為ができるよう、新たな枠組みを作るべきだとする動きが活発化してきた。 アメリカでの歴史ある効果的運用実績の後押しもある。また、国内では医師不足対策としての実効的・実践的要請も踏まえて力強い動きとなっており、如何な日本医師会の反対でもこれを押し止めることはできないだろうと思われる。厚生労働省は、既に特定看護師(仮称)の認証制度を盛りこんだ医療法改正案を通常国会に提出する方針のようだ。 一方、医学教育の世界に於いても、医行為を巡る同様の問題点が存在する。 医学生は、医師免許をまだ取得していない段階では、当然医行為はできないはずである。だが現実は、臨床実習と称して医行為を頻繁に行っており、患者からも理解され難いグレーな側面をもっている。内容的には、熟練看護師による医行為と比べたら、はるかに問題は大きいはずである。 そこで、医学生を巡るこの長年の課題をスッキリさせようと、昨年末全国80大学を基盤に構成された「全国医学部長病院長会議」なる組織が種々検討し、医学生が医行為可能な段階に至った時点で、公的な保証を与えることを提議した。 臨床実習開始前に、まず第一に基本的な「技能・態度」を問う。これはOSCEと言い、模擬患者を用いて医療面接や、身体所見の取り方を審査するテストである。これに合格すれば第二段階として「知識」を問うCBTが実施される。 こうした難問を全てクリアした医学生を晴れて「学生医」と認証しようというわけである。この方向づけは、これまで知識偏重型とも言われていた現行の医師国家試験を、実践型に改める方式としても期待されている。 ここで許容される医行為には当然限度があり、侵襲性の高いものは対象外となる。また、指導医のきめ細かな監督の下に行われるべきであり、患者等の同意も得て実施されるべきとされている。 学生医に対するこうした実践的運用案は、特定看護師にも全く同様に求められるべきものであり、両者の整合性を前向きに考慮、研究すればより良い法制化につながるはずである。
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