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生命体人間の根源は海にある。その海水中には、微量ながらもナトリウム(Na)をはじめとした各種ミネラル類が微妙な調整を保っている。 そんな神秘的なつながりがあるのだろう、人体の約60%を占める体液中には、海水同様各種微量成分がしっかり保持されている。 そこで注意すべきは、マラソン大会等での水分補給のあり方。大量の発汗時はNaなども相当排出されているから、純水つまりH2Oだけの補給だけでは大変な片手落ち、実際に落命事故につながった例もあるくらいだ。 この現象は「水中毒」と呼ばれ、体液中のNa量が極端に低くなった状態ということで、「低Na血症」ともいわれる。 Naの主な働きは、神経を刺激し、筋肉を収縮させ、そして細胞の水分バランスを保つこと。従って欠乏すると、たとえ脳細胞であろうと、これをムクんだ状態にし、働きを鈍らせ時には生命活動をも危うくさせる。純粋な水だけでは、それが毒にもなるコワーイ話となるわけだ。 「むくみ」や「脚がつる」くらいならともかく「頭痛」がしてきて「幻聴」「幻覚」が現われ、「けいれん」がきたら極めて危険、即救命救急センターへ直行しなければ。 とは申せ、通常、腎臓の働きは極めて強靭、水分、ミネラルバランスの崩れることはめったにない。必要以上に神経質になることはなく、逆に、水分を控え過ぎて「脱水症」になるようではそれこそ愚の骨頂だ。 のどが渇けば、それに応じて常識的な飲水でのどを潤せば、それでノートラブルということだ。 ところで「海」に似た字に「梅」があるがこれが大変浅からぬ仲。梅干しを1つ口に含めば、さまざまなミネラル成分が猛暑なんて簡単に吹き飛ばしてくれる。 さて、日常的にいたずらに水分補給する人を結構見かける。囲碁仲間にそんな人がいて、聞けば「脱水ぎみになると脳梗塞や心筋梗塞になりやすいと思って」と。更には「水をたくさんとれば血液がサラサラになると思って」などと言い、マイボトルを手離そうとしない。 はっきり言って、脳梗塞や心筋梗塞の原因として、脱水との因果関係を明記した医学的報告は見たことがない。 ついでに言えば、便秘防止を目的に水分をたくさんとる人がいるが、水分摂取が少ないから便秘になるわけではないし、大量飲水しても便秘ぎみの人はいる。 体が水分を必要とする時は、通常は口渇感がでて、それが飲み時。空腹感がないのに口に食べ物を押しこむ生理的現象等あるはずがない。
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