ケアマネ日記  
 
選挙シーズン、介護をネタに応援依頼の議員、秘書らが来局
 
開局薬剤師ケアマネジャー
山鳥さとよ
 
   選挙が近づいてきた。
 朝っぱらから「ポスターを貼らせてくれ」だの、「復援会入会申込書をガラスケースの上に置いといてくれ」だの、議員や秘書連中が入れ替わり立ち代わりやってくる。普段は顔も見せないのに、こんなときばかり熱を入れ、ご苦労なことだ。
 だが、ドアやウインドにやたらポスターを貼られたのでは、外から見えなくなってしまうし、申込書を乱雑に積まれても迷惑なことだ。しかし、捨てるわけにもいかないからしぼらく置いとくことにした。
 午前の処方せんがほぼ終わって、薬歴簿を整理していると、「当選したら、介護分野で大いに働きたい。今、何か困っていることはありませんか」と新人がやってきた。
 「困ることは毎日のように出てくるよ。たとえば昨日4回目を受けてきた『主任介護支援専門員研修を受講する資格を得るための現任研修専門1課程』。平成14年度に基礎課程を終え、15~17年度は現場では最も役に立つ専門課程を真面目に受講し続けた者には、今回の専門1課程は、内容的に時間と金の無駄だと思うよ。お役所は何でこんな馬鹿なことを考えるのだろう。大学の偉い先生の机上の空論より、実戦で場数を重ねたこちらが代わって講義してやった方が余程、現場では役に立つのだが……。それに偉い先生の話をそのまま実践すると、ますます事務作業と紙が増え、ケアマネが利用者宅を訪問する時間が減ってしまう。そうは思っても、この偉い先生に役所から今後、講師依頼が途絶えると気の毒だから、帰りがけに提出するアンケート用紙には、『非常に参考になった』の項に○印をしてきたがね」。
 そんな話をしても、この新人さん。ポカーンとした顔をして、何のことだかよく分からないようだ。まあ期待するこちらの方がおかしいのかも。
 だから、もう少し分かりやすい話を2つしてやった。
1つ目。
 「金の節約なのだろうが『高齢者医療はできるだけ在宅で』となり、手術後のドレン(胆汁などが、腹腔内に漏れ出るのを防ぎ、腹の外へ取り出す導管)を付けたまま退院してくる。居宅の浴室は狭くて家人は入浴介助ができないから通所介護による入浴に頼らざるを得ない。しかし、管を下げている人を受け入れてくれる施設がなかなか見つからない。たまにあったとしても『これまでに実績はないが、勉強になるから受け入れてみたい』と恐ろしいことをのたまう。利用者は練習台ではないのだ。肺気腫や気管狭窄症で常時酸素吸入が必要な人も然り。ともかく、利用者が管を付けて退院してくるとケアマネジャーは泣きたくなるのだ。しかしケアマネが、いくら八方塞がりで三隣亡(さんりんぼう)の役割でも、一応の専門職から依頼を受けた件を留め置くわけにはいかない。後で、『せっかくの依頼情報を放置、無視した』といわれかねない。仕方ないから、念のため訪看(訪問看護)事業所に尋ねると『医療保険でも介護保険でも、連日朝夕2回訪問すると過剰診療として跳ねられてしまうからできない』といわれ、ホッとした」。
(・・・この項、つづく)

(2007年4月20日掲載)
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