未承認薬・適応外薬検討会議で「公知申請に該当」と評価された医薬品に関する情報

第15回(2013年3月25日開催)
一般名:人血液凝固第XIII因子
後天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向

公知申請が可能と判断された日04/25/2013
部会名薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会

一般名:人血液凝固第XIII因子
販売名:フィブロガミンP静注用
会社名:CSLベーリング株式会社
効能追加予定:
 後天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向
追記される予定の効能・効果:
 先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向
 ※ 追記予定は下線部
追記される予定の用法・用量:
 先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向
 1日量4~20mLを緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状などにより適宜増減する。
  ※ 追記予定は下線部
  ※ 用量の増減において、後天性血液凝固第XIII因子欠乏症については、欠乏の原因についても考慮すること。
コメント:
 4月25日の薬事食品衛生審議会医薬品第二部会において、CSLベーリング「フィブロガミンP静注用」(一般名=人血液凝固第XIII因子)の後天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向について事前評価が行われ、同日付で保険適用が可能となった。これらの医療上の評価等について検討を行った「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での評価のポイントや、新たに適応追加となる効能への使用上の注意事項等を厚生労働省医薬食品局審査管理課・宮田俊男課長補佐に聞いた。

・評価のポイント
 人血液凝固第XIII因子の後天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向への使用は▽ドイツで承認されていること▽英国のガイドラインに記載されていること▽海外で実施された複数の無作為化比較試験で有効性・安全性が報告されていること▽日本においても臨床使用実態が確認されていること▽国内外の教科書で有効性のある治療法として記載されていること――などから、医学薬学上公知と判断した。

・臨床試験・公表論文等の要点
 海外の複数の臨床試験において、同剤投与によりインヒビターの克服、出血がコントロールされたとの報告がある。また、厚生労働科学研究「後天性血友病XIII(13)の実態調査、発症機序の解明と治療方法の開発研究」では、研究班長がコンサルテーションした症例22例全例が救命されたことを報告している。

・臨床試験等で見られた主な有害事象
 現時点で、同剤の既承認用量において安全上懸念される報告はなされていない。
 なお、フィブロガミンの添付文書では、重大な副作用としてショック、その他の副作用として発疹、発熱、悪心、嘔吐、頭痛、めまい、AST、ALT上昇、γ-GTP、Al-P、ビリルビン、LDH上昇等が記載されている。

・使用方法
 既承認の「先天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向」に対する用法・用量は「1日量4~20mLを緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」とされている。
 ドイツにおける承認用量が、日本の既承認の先天性血液凝固第XIII因子欠乏症の用量と同程度であることを踏まえ、先天性血液凝固第XIII因子欠乏症と同じ用法・用量とすることが妥当と考えられた。ただし、後天性血液凝固第XIII因子欠乏症に対する用量の選択においては、年齢・症状のほかに欠乏の原因についても考慮する必要があることから、「なお、年齢、症状などにより適宜増減する」と記載整備することが妥当とされた。

・その他留意すべき点
 学会のガイドライン等、最新の情報を常にフォローし、適切な使用をお願いしたい。

【関連資料】
審議会03/25/2013 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議/公知申請への該当性に係る検討会議報告書(案)(外部リンク)
審議会04/25/2013 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会
厚労省 公知申請に係る事前評価が終了した適応外薬の保険適用について(外部リンク)