一般名: | 乾燥抗HBs 人免疫グロブリン、抗HBs 人免疫グロブリン |
販売名: | ①ヘブスブリン筋注用200 単位、ヘブスブリン筋注用1000 単位
②乾燥HB グロブリン筋注用200 単位「ニチヤク」、乾燥HB グロブリン筋注用1000単位「ニチヤク」
③抗HBs 人免疫グロブリン筋注200 単位/1mL「日赤」、抗HBs 人免疫グロブリン筋注1000 単位/5mL「日赤」
④ヘパトセーラ筋注200 単位/mL(1mL)、ヘパトセーラ筋注200 単位/mL(5mL) |
会社名: | ①③一般社団法人 日本血液製剤機構
②日本製薬株式会社
④一般財団法人 化学及血清療法研究所 |
効能・効果: |
| 新生児のB 型肝炎予防(原則として、沈降B 型肝炎ワクチンとの併用)(既承認効能・効果) |
用法・用量: |
| 初回注射量は0.5~1.0mL を筋肉内に注射する。初回注射の時期は生後5 日以内とする。なお、生後12 時間以内が望ましい。また、追加注射には、体重1 kg 当たり0.16~0.24mL を投与する。 |
コメント: |
| 10月18日の薬事食品衛生審議会医薬品第二部会において、▽MSD「ヘプタバックス-II」、化学及血清療法研究所「ビームゲン」(一般名=組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来))の新生児へのB型肝炎予防▽日本血液製剤機構「抗HBs人免疫グロブリン筋注200単位/1mL「日赤」 同筋注1000単位/5mL「日赤」」、化学及血清療法研究所「ヘパトセーラ筋注200単位/mL(1mL) 同筋注200単位/mL(5mL)」(一般名=抗HBs人免疫グロブリン)、日本血液製剤機構「ヘブスブリン筋注用200単位 同筋注用1000単位」、日本製薬「乾燥HBグロブリン筋注用200単位「ニチヤク」 同筋注用1000単位「ニチヤク」」(一般名=乾燥抗HBs人免疫グロブリン)の新生児へのB型肝炎予防――について事前評価が行われ、同日付で保険適用が可能となった。これらの医療上の評価等について検討を行った「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での評価のポイントや、新たに適応追加となる効能への使用上の注意事項等を日本医療政策機構・宮田俊男医療政策ユニット エグゼクティブ・ディレクター(元厚生労働省医薬食品局審査管理課課長補佐)に聞いた。
・評価のポイント 組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)の母子感染予防の用法については、従来は通常、0.25mLを1回、生後2~3箇月に皮下注射し、更に0.25mLを初回注射の1箇月後及び3箇月後の2回注射を行うとしている。今検討会では、初回投与を生後12時間以内の新生児からの投与スケジュールへ変更することを評価した。生後12時間以内の新生児への投与については、▽米国CDCガイドラインなど、海外ガイドラインに標準的療法として記載され、欧米等で広く実施されていること▽厚生労働科学研究など公的研究を含む国内外の臨床試験において、類似した投与法の有効性及び安全性が報告されていること――などから、医学薬学上公知と判断した。 抗HBs人免疫グロブリンに関しては、既承認の用法・用量において「48時間以内が望ましい」と記載されており、既承認の範囲内であることから、公知申請後に事務局審査で対応することとしている。
・臨床試験・公表論文等の要点 海外の複数の臨床試験において、組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)の生後12時間以内の新生児への投与について、血漿由来B型肝炎ワクチンと同様のB型肝炎予防効果があることが確認されている。
・臨床試験等で見られた主な有害事象 海外臨床試験では、ワクチンと因果関係があると判定された重篤な有害事象の報告はない。通常のワクチン接種時に発現する有害事象である発熱や注射部位反応は報告されているが、症状は一過性かつ経度であった。 米国疾病管理予防センター(CDC)が発行しているワクチン学の総説集では、B型肝炎ワクチンの最もよく見られる副作用は注射部位の疼痛であり、成人の13~29%及び小児の3~9%で報告されている。全身症状は疲労、頭痛及び易刺激性などが成人で11~17%及び小児で0~20%報告されており、発熱は成人の1%及び小児の0.4~6.4%で報告されている。
・使用方法 原則として、組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)と抗HBs人免疫グロブリンを併用する。 組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)は通常、0.25mLを1回、生後12時間以内を目安に皮下注射する。更に0.25mLずつを初回注射の1箇月後及び6箇月後の2回、同様の方法で注射する。被接種者の状況に応じて生後12時間以降とすることもできるが、その場合であっても生後できるだけ早期に行うこと。 なお、海外では筋肉内注射が一般的であるが、国内ワクチンは新生児、乳児には皮下接種とされている。新生児への皮下接種については、厚生労働科学研究等により有効性及び安全性が示されていることから、要望の通り接種経路を皮下接種とすることは可能と考えた。 抗HBs人免疫グロブリンは、初回注射量は0.5~1.0mLを筋肉内に注射する。初回注射の時期は生後5日以内とする。なお、生後12時間以内が望ましい。また、追加注射には、体重1kg当たり0.16~0.24mLを投与する。
・その他留意すべき点 今回の変更は、医療実態(乳児の受診時期)と接種スケジュールの不一致による接種漏れ防止のためのスケジュール変更であり、現行の用法・用量の有効性及び安全性を否定しているものではない。現行の用法・用量からの切り替えがスムーズに行われることが望ましいと考える。 |