薬事ニュース社
オピニオン

>>>薬の信頼性<<<
 アジア地域における偽医薬品問題は、依然、広がりをみせている。特に中国は、アジアにおける偽医薬品の供給元としての中核を担っており、既に巨大なマーケットが形成されているという。日本でも、近年、インターネットによる個人輸入等で被害事例が増加し、懸念されているところではあるが、それでも他のアジア諸国と比べそれほど大きな問題となっていないのは、日本で製造・販売される医薬品の信頼性や、医療水準が高いことによる。
 この裏付けは旅行業界にみることができる。日本を訪れる旅行者の土産物の定番と言えば、電化製品やアニメ関連商品、ニンジャ・サムライ等のいわゆる"和グッズ"などを挙げることが出来る。ただ、アジアからの旅行者に注目してみると、医薬品も高い人気を誇っており、旅行会社が企画する最近のツアーの中には、従来の観光コースの中に、ドラッグストアや薬局などが組み込まれているものも少なくなく、これが好評を博しているというのだ。
 日本で生活する一個人として、世界が認める信頼できる医薬品、医療が身近に存在することは非常にありがたく、心強い。食品業界に目を向けると、北海道の食肉製造加工会社「ミートホープ」による牛肉偽装事件が、信頼性の面で業界全体に大きな影響を及ぼした。信頼は、築き上げるのには時間がかかるが、崩れるのは一瞬だ。中国も、偽医薬品のイメージを払拭するには、相当の時間、労力が要るだろう。教訓はすぐ傍にある。
(2007年7月13日掲載)