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>>>「再生医療」と「細胞治療」<<<
 厚生労働省は、「再生医療及び細胞治療の安全性の確保に関する法律案」の今通常国会提出を検討中だ。患者に実施する再生医療に関して規制をかけるというものだが、どういう規制が必要かは「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」で検討が行われている。同委員会では、この「再生医療」という名称のあり方についても、検討に多くの時間が費やされた。
 再生医療は、iPS細胞やES細胞等を用いて臓器や組織を再生させる技術だ。こう書くと、何でも治る夢のような治療に聞こえる。このことが、委員会では危惧されたのだ。再生医療といっても、薬事承認されているものはまだ2品目。ほとんどが研究段階だ。患者に再生医療を行う場合も、多くが「臨床研究」となる。つまり、本当に再生するかは未知なのだ。委員会では「再生しなかった医療も再生医療と呼ぶことになる」と、再生医療という名称を疑問視する声も強かった。細胞を用いた治療なので「細胞治療」がいいという意見もあった。しかし、「再生医療」は一般的に浸透している。今さら「再生医療」という文句は外せないという意見もあり、今のところ委員会では「再生医療・細胞治療」で落ち着いている。
 個人的には、名称なんてわかればいいというほうなので「再生医療」でいいと思うが、法律となるとそうはいかないらしい。委員会でのやり取りをみていると、お役所が付ける名称が何とも長いものになるのがわかるような気がする。
(2013年3月1日掲載)