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>>>社会保障「見直し」協議会の行方<<<
 通常国会が閉会し、参院選ムード一色となった永田町は国会議員の多くが選挙戦に備え自分の選挙区に帰ったため閑散としているが、参院選が終わる来月には政策活動に奔走する議員の姿で溢れかえる。
 参院選後に待ち構えている政策活動の1つが社会保障制度改革だ。公的年金制度の一元化を含む社会保障制度全般の「一体的見直し」を行うことで、自民、公明の与党と民主党の3党が合意。小泉首相も見直しが必要と説き、検討するための協議会を政府内に1カ月後に発足させると宣言した。
 首相の理解もあって協議会の設置はトントン拍子に行くと予想されるところだが、メンバー構成というスタート段階で揉めそうな気配。首相が協議会に経済界や労働界の代表も入れる考えを表明していることに関して与党内からは「論調が経済財政諮問会議のような社会保障費抑制のための財政主導の流れになるのでは」と危惧する声が上がっているからだ。現在、諮問会議議員の奥田日経連会長が協議会メンバーの候補に上がっているが、奥田氏は今月閣議決定された「骨太の方針」に中期目標を定めて社会保障費を抑制する文言を盛り込むよう主張した社会保障抑制論者。奥田氏に限らず、経済界、労働界は社会保障抑制論の傾向が強い。協議会メンバーの顔ぶれで議論の針路が大方つきそうだ。

(2004年6月25日掲載)