薬事ニュース社
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>>>動物用医薬品ジェネリックの知られざる世界<<<
 ペットに使用される動物用医薬品。医療用医薬品と同様、薬事法によって開発から承認、市販後まで規定され、その品質、有効性・安全性の確保が図られているが、これにも当然ながらジェネリック(GE)が存在する。薬事・食品衛生審議会の答申を経て、農林水産大臣から承認を得た動物用医薬品は現在、3000品目を超え、そのうち「約半分ぐらい」(農水省)がGEである。
 医療用医薬品のGEでは、欧米諸国と比べて普及率が低いことが度々指摘されているが、動物用医薬品のGEも「明確なデータはないが、同様な傾向にある」(同)という。基本的に保険が適用される医療用医薬品と異なり、動物用医薬品は飼い主の全額負担となる。それだけにコスト意識がより働きそうなものだが、それがないのは、GEの存在を知っている飼い主が少ないからだろう。それをいいことに、先発品と同じ価格でGEを処方し、たっぷり利ざやを懐に入れる“あざとい”獣医師もいるようだ。
 思い起こせば、世間が医療用医薬品のGEの存在を知ったのもつい最近。確か小泉内閣が「聖域なき構造改革」をスローガンに、膨張し続ける医療費の縮減というメスを入れたのがきっかけ。GEの使用促進に向けた制度的後押しやメーカーの努力などが効を奏し、今ではようやく高い認知度を示すようになってきた。それまでは医療用医薬品のGEの存在を知っている人はごく限られていた。
 一方、動物用医薬品は保険適用外。国・地方の財政負担は皆無。膨らむのは飼い主の負担だけに、今のところ行政から動物用医薬品のGEの存在を情報発信する意義は見当たらない。メーカーが動けばいいのだろうが、今のところそのような気配もない。ならば主張できないペットに替わって、飼い主が賢く問題意識をもつしか、今は策がないのかもしれない。
(2008年7月25日掲載)