薬事ニュース社
オピニオン

>>>太陽との付き合い方が変わる?<<<
 太陽――普段それがないと生きていけないくらいお世話になっていながら、最もその存在を疎ましく思うのも今頃の季節だ。熱中症で倒れる人の数も今年はやけに多く感じられる。
 今から30年以上前、子供はこんがり小麦色に陽に焼けるよう推奨されたものだった。遠い先祖にコーカソイドがいたのか、いくら焼いても赤くなってソバカスが残るだけで悔しい思いをしたのも昭和のその昔、現代では地球温暖化~オゾン層破壊~紫外線の害~皮膚がんへ、という一連の流れが啓蒙され始め、日光を避ける方向=美白礼賛へ世論も傾いている。
 とはいえ、特に白人の「小麦色の肌」への憧れはいまだ強く、米国の日焼けサロンの数はスターバックス店舗の3倍はあるとのこと(「Microtrend」より)。だが人類の肌の色は数万年かけて各々の土地に適応し獲得したもの。元来白人は強い日差しとの相性が良くはなく、たかだか数百年の移住期間しかないオーストラリアなど紫外線の強い地域で暮らす白人の皮膚がん発生率は非常に高いという。逆に肌色の濃い=メラニンを多く含有する人々は、紫外線を必要以上にブロックしてしまい、太陽光の弱い地域での暮らしによりビタミンD欠乏症になるリスクが高まる。英国へ移住したインド人などがそれに当てはまる。
 つまり単純に太陽光(紫外線)をシャットアウトすれば済むという話でもなく、ビタミンDのように主な摂取源が太陽光である場合があり、太陽とは「ちょうど良い」付き合い方をしなければならない訳だが、やはり気張って日焼けサロンに通ったり海辺へ遠出したりするよりは、ちょっとした散歩や、夏場だとちょいとベランダに出て日光を浴びる(自然の風もついでに)――くらいが一番良いらしい。
(2010年8月20日掲載)