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>>>16年度調剤報酬改定<<<
 16年度診療報酬改定の「改定率」が決定し、調剤報酬はプラス0.17%に落ち着いた。争点となっていた医科・歯科・調剤の改定比率について厚生労働省・財務省は「1:1.1:0.3」と公表。日本薬剤師会の山本信夫会長は「従来の改定比率が堅持されたものと理解している」と評価し、日本医師会など医療関係団体の幹部も同様の見方を示す。ただ、診療報酬本体の「外枠」との位置付けで、大型門前薬局を狙い撃ちにした引き下げ策があるため、調剤報酬全体では「実質的」にマイナスに近い。
 15年はこれまで以上に、薬局・薬剤師や調剤報酬、そして医薬分業自体に厳しい指摘が集中した年だった。大手チェーン薬局による薬剤服用歴の未記載問題に端を発し、一般紙による「医薬分業バッシング」報道が相次ぎ、日医を中心とした医療関係団体からも険しい視線が投げかけられた。これらの流れに乗じて財務省は、調剤報酬改定の抜本的・構造的な改革事項を提示。16年度調剤報酬改定を巡る政府・与党間の調整は、財務省の改革案をベースに進んでいた。
 最終的には、日薬・山本会長や自民党の厚生労働関係議員らの働きかけもあり、財務省に突き付けられた見直し案の大半を押し返すことができた。薬剤師会関係者の中からは安堵の声も聞かれるが、「調剤報酬一人負け」という事実は厳然として残る。ある厚労省関係者は「財務省は累次に亘る改定を念頭に入れ、長期的なスパンで調剤報酬の抜本的な見直しを検討している」と警鐘を鳴らしている。
(2016年1月15日掲載)