薬事ニュース社
オピニオン

>>>スーパー特区<<<
 一時期、規制改革における象徴的な言葉として耳にすることが多かった「特区」。最近では、この言葉を聞く機会はほとんど無かったが、再び注目を集めそうな動きがあることを知った。政府の「経済財政改革の方針2008」において、研究資金の特例や規制を担当する部局との並行協議など試行的に行う「革新的技術特区(スーパー特区)」の構想が打ち出され、その第一弾として先端医療開発特区を創設する方向性が示されたのだ。既に公募は始まっており、反響は少なくないという。
 今回の「スーパー特区」が、従来の「特区」と決定的に違う点は、「特区」が地域や行政区域を核とする考え方であったのに対し、「スーパー特区」は研究テーマが主体となる点。“特区”という言葉を用いているものの区域に縛られることが無いのが特徴で、ある特定のテーマに対し、複数拠点の研究者をネットワークで結んだ複合体を「スーパー特区」として位置付けている。北海道の研究機関と東京の企業、沖縄の大学に所属するそれぞれの研究者3者が複合体となり、1つの特区として認定されるケースも十分に有り得るのだ。
 日本の医薬品市場は、様々な要因から、グローバルにおける影響が年々弱まっている。「スーパー特区」で実現するとされている“研究資金の統合的・効率的な運用”や、“開発段階からの薬事相談”がどれほどの実効性を持つかは不透明だが、研究テーマそのものを“特区”とする発想は面白い。製薬業界に漂う閉塞感を打ち消す一手となることを期待する。
(2008年8月8日掲載)