薬事ニュース社
オピニオン

>>>企業ブランド<製品マインド<<<
 かつて「企業ブランドの雄」の名を恣にしたソニーの凋落ぶりが著しい。05年末には中国・浙江省の工商局が、ソニー製デジカメの品質が定める基準に適合しないとのことから販売停止命令を下すまでに至った。また、20年以上にも渡り市場を独占してきた携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」は、新興製品「iPod」の勢いに迫れるかどうか――のレベルで問われている始末。巷間言われているように、高い評価を受けていた企業ブランドの上にあぐらをかき続けてきた成れの果てだとも言えよう。
 ソニーだけでなく日本企業においては長年、企業ブランドを向上させることにプライオリティーが置かれてきた。取引先や就職先の選定にもまずブランド。従業員もブランドの誇りを支えに労苦を耐え忍んできた。だが、本来ブランドとは企業が自分達のプライドのために発信するものではなく、消費者各人が製品・サービスを享受し、育んでいく上で醸成されるものではないのか?
 前述のソニー・デジカメ騒動では、その後の中国における消費者モニター調査で「日本のブランド神話は崩れた」「(販売停止騒動が)今後のメーカー選別に大いに影響を与える」と過半数が答えたと言う。ブランド構築のためにこだわったソニーの「自社規格」が消費者の方を向いていなかった、というわけだ。まず「製品・サービス」に魅力があり、その上で足元を固めていかないことには、企業ブランドの構築どころではなくなるという一例である。
 将来的に合従連衡を視野に入れている企業も、「結婚相手」が名前倒れしていないか、見極める必要がある。
(2006年4月21日掲載)