薬事ニュース社
オピニオン

>>>医師の責任<<<
 中枢神経興奮剤「リタリン」(一般名=塩酸メチルフェニデート)の薬物乱用を受けて、厚生労働省は「リタリン」の「うつ」の効能を取り消すことを決めた。また、本来ならば10月あたまの薬食審・薬事分科会で承認が認められるはずであった、ヤンセンファーマの注意欠陥/多動性障害治療薬「コンサータ」についても、同時に承認を認めた。両剤に対しては、承認条件として、流通管理の実施を指示。処方できる医師・医療機関・薬局などをリスト化して限定、適正使用の徹底を図る方針だ。
 「流通管理の実施」――。ひと言でいっても、企業にとってはかなりの負担となることは必至。取り扱うことができる医師や薬局など、継続的にフォローしていかなければならず、また今後、急に発注数が増えるといった“異常発注”に対しても日々注意深く監視していく必要が出てくる。
 今回の「リタリン」問題。行政側は、「うつ」という効能を取り消すだけではなく、流通管理まで実施するという、踏み込んだ措置をとらざるを得なかった。つまりは、「いくら、「うつ」の効能を削除したとしても、使うやつ(医師)は使う」(行政官)わけで、そこまでしなければ医師による不適切な処方を防ぐことが出来なかったというわけだ。
 「リタリン」に関しては、適応外だが、末期がん患者の緩和ケアとして使われている実態もあるという。一部の医師の不適正使用のために、本当に必要としている人に薬が届かない――。そんな状況があってはならない。
(2007年10月26日掲載)