薬事ニュース社
オピニオン

>>>第49回日本癌治療学会学術集会への期待<<<
 第49回日本癌治療学会学術集会が10月27日~29日の3日間、名古屋市・名古屋国際会議場で開催される。今年の学術集会では、日本癌治療学会が何をなすべきかを具体化する5つの提言シンポジウムが注目される。なかでも患者の経済・就労問題などの課題について、日本癌治療学会がどのような提案をするのか興味深い。
 患者団体によると、がん患者・経験者の3人に1人が依願退職、7割が年収4割の減少、1割が経済的理由による治療の変更または中止をせざるを得ない状況にあるという。国内の経済・就労環境の厳しさは東日本大震災によりさらに厳しくなっているが、支援を考える必要がある。国民の2人に1人ががんに罹患するという時代、がんは他人事ではない。がん患者の悩み、がん医療の現状について、経験者である患者たちの声に耳を傾けなければならない。
 日本では小規模な患者団体が多く、がん種によっては患者団体がほとんどないケースもある。海外では、スウェーデンのように患者団体が全国的にネットワーク化され、新規患者が先輩患者からアドバイスをもらったり、治験参加者のリクルートに貢献したり、と機能しているケースもある。日本でも患者団体のネットワーク化や共通の利益のための協働が進むことを期待したい。
 第49回日本癌治療学会学術集会の西山正彦会長(埼玉医科大学先端医療開発センターセンター長)は、「医療者、受療者とその家族、国民、立法、行政、関連学会のすべてがビジョンを共有しつつ、総力を結集して進む必要がある」と語る。今回の学術集会は、社会的な存在としての日本癌治療学会にも注目している。
(2011年10月21日掲載)