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>>>インフルエンザと観光客<<<
 インフルエンザの流行シーズンとなった。日本では冬が流行の季節だが、沖縄では夏も流行シーズンだ。東南アジアでは夏にもインフルエンザが流行することから、沖縄で夏に流行する原因として温暖化が考えられている。しかし、日本臨床内科医学会のインフルエンザシンポジウムで、琉球大学大学院の藤田次郎教授は、北海道や奈良も夏にインフルエンザが流行したことがあると紹介した。海外をみれば、アラスカも夏にインフルエンザが流行するという。アラスカでの流行の原因は観光客とのことで、そう考えると北海道や奈良も代表的な観光地だ。
 海外でも猛威をふるっているエボラ出血熱は、感染者が8カ国で1万5000人を超え(11/19現在・WHO発表)、日本でも帰国者数名がエボラ出血熱の感染を疑われた。秋に国内で感染が確認されたデング熱は、海外渡航歴のない人が発症したことで話題となったが、元は帰国者もしくは外国人観光客が持ち込んだと見るのが妥当だ。
 政府は、成長戦略の一つとして観光立国を掲げている。2020年までに年間訪日外国人を現状の約2倍となる2千万人に増やす目標だ。観光客が増えることは大いに望ましいが、一方で不顕性感染の観光客も増加する。インフルエンザ対策の議論の際にも指摘されたが、そうなると水際作戦はもはや通用しない。外国人患者の受入れ体制の強化、および国内に常在しない感染症にも迅速に対応できる医療体制が望まれる。
(2014年11月28日掲載)