薬事ニュース社
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>>>"アウェー"に臨む日薬<<<
 「本当はもっと頑張らなければいけなかった」――。5月25日に開催された日本医薬品卸業連合会の総会後の懇親会。挨拶を終えた日本薬剤師会の児玉孝会長は、記者に対して自戒の念を込めて呟いた。
 同日の懇親会には児玉会長のほか、日本医師会の原中勝征会長、長浜博行厚生労働副大臣、足立信也大臣政務官などが来賓として招かれており、会場内は民主党の選挙支援を訴える挨拶が飛び交っていた。"親民主"一色のムードに包まれた懇親会で挨拶に立った児玉会長は、日薬の組織内候補である藤井基之氏の名前を最後まで出せなかった。見かねた自民党議員が来賓挨拶で「児玉会長は言いたいことが言えなかったようだが、是非、藤井先生のバックアップを」と声高に呼びかけたほど、同日の懇親会は日薬にとって"アウェー"だった。
 藤井氏の選挙情勢は楽観視できない状況だ。ある日薬関係者は、「昨年末に比べれば、民主党の支持率が下落して光明も差してきているが、それでも厳しい」と分析しているし、別の関係者も「民主党の人気が下がっている状況で、自民党の支持率が上がっていない」と焦燥感を隠さない。さらに、日薬と同様に"藤井支持"を掲げる日本病院薬剤師会にも気になる要素がある。民主党公認の安藤高朗氏の当選を危ぶんだ病院団体の政治連盟が、"安藤支援"の働きかけを日病薬に行っているというのだ。これについては児玉会長も「実際にそういう話は聞いている」と認めている。
 前回の参院選に続いて今回も藤井氏が落選すれば、児玉会長の引責問題に発展する可能性は極めて高い。7月に想定されている参院選まで残り約1カ月。児玉執行部は正念場に立たされている。
(2010年6月4日掲載)