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>>>暗雲立ち込めるOTC検査薬<<<
 厚生労働省は現在、一般用(OTC)検査薬を拡大させる議論を進めているが、その動向に早くも暗雲が立ち込めている。8月7日に開催された薬事・食品衛生審議会の医療機器・体外診断薬部会では、製造・販売に関する関係団体からヒアリングを実施。業界関係団体はOTC検査薬を増やす意義などについて理解を求めたが、日本医師会を中心に否定的な意見が集中している。
 業界団体サイドにとってOTC検査薬の拡大は、生活習慣病領域のスイッチOTC化に繋げるための重要なツールでもある。特に重視しているのが血液検体だ。高脂血症治療薬「エパデール」のスイッチ化に際する審議では、反発を強める日医委員から繰り返し、「自覚症状を把握しにくい生活習慣病の治療には血液検査など定期的な管理が欠かせない」といった指摘を受けていた。そのため、業界側にとって血液検体のOTC検査薬の登場は、日医委員に対する理論武装を図る上でも宿願となっている。
 しかし、血液検体のOTC検査薬化に関しては日医だけでなく、「検体測定室を備えた薬局での自己検査」を主張する日本薬剤師会も反対側にまわっている。9月頃に開催される次回会合では早くも論点整理が行われるが、ある厚労省関係者は2回にわたる議論の内容をみて、「現状では医療関係団体の理解を得るのは困難だ。業界側ももう少し説得力のある資料を用意して議論に臨まなければならない」と冷やかに語った。
(2014年9月5日掲載)