薬事ニュース社
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>>>土田中医協会長に贈る言葉<<<
 中医協の土田武史会長が4月7日付で退任する。02年4月に公益委員に就任した後、05年4月から中医協会長を務め、06年度と08年度の2度に亘る診療報酬改定を取りまとめた。3月26日の最後の中医協では、この6年間の在任期間を述懐。自身が中医協委員に就いた当時よりも医療崩壊が進んでいる現状を憂い、「改定にもその一端の責任はある」と悔恨しながらも、最後は各委員、関係者に感謝の意を述べ、「楽しい6年間でした」と笑顔で退任挨拶を行った。
 その感謝の意は報道人にも向けられたが、そこはやはりユーモアセンスを持ち合わせた土田会長である。「多少の皮肉を込めて」と述べてこう説いた。「改定率など明日になれば分かるようなことを一所懸命追い駆けることより、『社会の木鐸』の使命を忘れることなく、非常に大きな歴史の中で改正を行っているという大きな視点から評価してほしい」と。
 これまでの改定議論を振り返ると、支払側と診療側が対立して険悪なムードになった場面では、ユーモアと時には皮肉を込めたセリフを口にして場を和まし、審議を軌道修正させていた。ある講演会で、名裁きだったといわれる星野進保前会長と比較して自身を謙遜していたが、星野前会長とはまた違った名裁きぶりであったと思える。
 会長退任後は、ドイツの医療保険制度を研究するため、独ミュンヘンに1年間留学する。本紙に対し、その研究成果を日本で生かしたい旨のコメントを頂いた。今はもうミュンヘンの地を踏んでいる同氏に対し、今後の御活躍を心から祈念したい。
(2008年4月4日掲載)