薬事ニュース社
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>>>女性の健康を守るのは<<<
 在日米国商工会議所(ACCJ)と欧州ビジネス協会(EBC)は3月16日に「女性医療政策白書」を発表し、記者会見を開いた。同白書の内容は「ヘルスリテラシーと教育」「女性の健康」「リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)」に関する政策提言に焦点を置いており、労働生産性の損失を緩和し日本経済の競争力を強化するというもの。なかでも予防や治療に対する意識を高めるために女性のヘルスリテラシーと教育に焦点を置いていることが特徴だという。
 会見後の質疑で「具体的にどのように意識を高めるのか」との問いに、GEヘルスケアジャパンの伊藤久美氏が提案した内容は興味深かった。乳がん検診率が海外に比べて低いことは以前から指摘されているが、受診していない理由は「なんとなく」であり、検診を必須化していない企業も多く、専業主婦もいるということを考えると、「男性に検診の大切さを啓発し、女性に受診を促してもらった方が効果があるのではないか」という見解だった。
 たしかに、乳がん・子宮頸がんの罹患率や女性に特有の疾患による経済損失が推計何兆円だというデータを出されるよりも、身近な人に心配してもらうほうが、病気に対する意識が一気に現実味を帯びるだろう。
 誰かのことを一生懸命に思うことが一人ひとりの健康や幸せにつながり、社会全体の幸せに近付くように願いたい。
(2016年5月6日掲載)