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>>>「フォーミュラリー」と診療報酬<<<
 中央社会保険医療協議会が2020年度診療報酬改定に向けた、いわゆる「短冊議論」を一巡させた。1月31日には20年度改定答申書の附帯意見案の素案が示され、2月5日に再び議論した後に7日には答申する見通しだ。そのなかで、次期改定で最大の目玉とされ、「骨太方針2019」などにも記載されていた、いわゆる「フォーミュラリー」の診療報酬上の評価は見送りとなった。
 「フォーミュラリー」に関する議論は中医協で複数回行われた。厚生労働省も実現に強い意欲を見せ、昨年12月には、名称を新たに「院内使用ガイド付き医薬品集」に改め、まずは特定機能病院で作成・維持を行う体制を評価する試行的な導入として再提案した。それでも、日本医師会の委員を中心に慎重論が根強く、支払側からも幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)以外に賛同する声があがらず、厚労省も諦めざるを得なかった。
 答申書附帯意見の素案でも曖昧な表現に留まった。「病院内での医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の取組について、院内での実施体制や実施方法などの実態把握や分析などを進める」とのみ記載。ある中医協委員は「『フォーミュラリー』の評価に反対する日医と、実現を強く望む幸野委員の双方の顔を立てて、どちらでも受け取れる記載に留めたようだ」と分析する。中医協で日医委員は「医師の裁量権自体は今後も維持する必要があるが、『使用ガイド付き医薬品集』を進めていくと、医師の総意がないところで制限がかかってくるかもしれない」と懸念を示していたが、処方権の制限に繋がりかねない改定項目については、医師の理解を得るのがなかなかに難しい。
(2020年2月7日掲載)