薬事ニュース社
オピニオン

>>>アジア市場は今が狙い時<<<
 おそらく、日本の産業界が世界中で今最も注目している市場は、中華人民共和国のそれだろう。 2001 年末の WTO 加盟を契機に、対外経済は順調に推移。 02 年には 8 %経済成長率を達成するなど、将来性は申し分ない。医薬品産業をみると、政府が知財制度の整備や医療・バイオ関連産業育成を打ち出しており、人口が日本の約 10 倍ということと相俟って、潜在的市場価値は高い。
 一方、日本の医薬品市場といえば、相も変わらず閉塞感を打破する明るい材料はなく、企業の多くは海外市場に活路を見出している。 M&A が世界的な潮流である中、日本はその流れに乗らずに来た。山之内・藤沢という国内連合が誕生し、ようやく日本においても業界再編が加速すると思いきや、効果ある M&A の対象と成り得る企業は、既に上位数社に絞られているという。
  M&A だけが企業存続の全てとは思わないが、この対象外となった企業にとって、その対象足り得ない理由に対しては重く受け止める必要がある。現在、グローバルな医薬品市場は日米欧の3極が中心であることは周知の通りだが、市場としては既に完成してしまった感があり、ここで新たに存在感を発揮するには相当の苦戦を強いられるだろう。むしろ、中国に代表される成長著しいアジア地域“第4極”を開拓する方が、挑戦的ではあるが面白い。
 遠からず、アジア地域は大躍進し、市場の4極化が実現するだろう。いやいや、日本はアジア地域に飲み込まれ、欧米亜の3極となっているかもしれない。

(2004年5月28日掲載)