薬事ニュース社
オピニオン

>>>地球温暖化に効くOTC<<<
一般用医薬品(OTC)販売の制度運用の全貌がほぼ確定した改正薬事法。来年4月以降、コンビニ(CVS)等異業種でも、都道府県認可の登録販売者(資格者)を常時置くなど条件を揃えれば、新制度下で一定の医薬品を扱える。しかし資格者の受験要件に実務経験が1年付いたため、CVS等が自前スタッフからそれを調達することは難しい。外部から調達するにしても、資格者自体が潤沢に出るかどうかも怪しくなってきた。そもそも情報提供以外の業務は従来通り、無資格者でも専門家の管理下で遂行できるため、様子見にまわる店舗なども少なくないからだ。結局、一時期10万人と試算された資格者も「それほど出ない」との見方がもっぱら。すると資格者は売り手市場となり、ドラッグストアらとの引抜き合戦ともなれば手当は高くつく。CVS等がそこまでして参入してくるか、と首を傾げる向きもある。
 が、ここでCVSに思わぬ敵が出現。その名は「地球温暖化」。住環境への影響から24時間営業が問題視されたことは過去もあったが、今回はすでに埼玉県など9都府県市が自粛要請の方向にある。CVS側は当然、猛反発しているが、相手は “人類の存亡にかかる環境問題”であり、分が悪い。ネットや取材先で声を拾っても、24時間営業への風当たりは強い。一定の便利性は認めるが、「本当に24時間必要なのは医療機関と警察」との声に染まる。
 ……医療? CVSはここに救いを求めるかもしれない。「OTCを扱い医療の末席にいる。だから24時間営業も悪ではない」と。24時間営業を止めるとCVSの売上は20%落ちるとの試算もある。ならば多少投資をしても、資格者を得て対エコ政策のポーズをとるかもしれない。サミットも終了し、環境熱も多少は冷めるかもしれないが、エコを理由にCVS参入はありうるシナリオだ。
(2008年7月18日掲載)